研究課題/領域番号 |
20K00599
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
塩原 朝子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30313274)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 言語学 / コーパス / インドネシア語 / マレー語 / 一致 / 照応 / 形態統語論 / 人称代名詞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はマレー語の諸変種にみられる文法的特徴に関する対照研究である。変種間に見られる構造上最も顕著な違いは、(A) 他動詞に見られる文法的態のシステムと、(B)その中で見られる項と述部の一致の現れ方の2点である。本研究ではマレー語の諸変種のデータを一定の枠組みで収集し、パラレル・コーパスを構築することにより、(A)と(B)の対照を行うとともに、(B)の一致に関わる現象に焦点を当て、各変種にそれぞれ異なる形でみられる一致の文法化の背景にある要因を、言語接触と談話論の両方から解明するとともにマレー語諸変種に見られる一致の発達を、先行研究で類型化されている「一致の文法化」という文脈に沿って分析する。
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研究実績の概要 |
今年度もコーパスへのタグ付作業を継続した。特にMax Planck Instituteの言語アーカイブから公開されているパプア・マレーのコーパスへのタグ付けを集中して行った。さらに諸変種を分析する際の基準点となるジャカルタで話されている口語インドネシアと標準的インドネシア語のコーパスを整備する作業を行った。7月にインドネシア・マカッサルにおける現地調査を計画していたが、その時点でCOVID-19の感染状況が改善していなかったため、実行しなかった。さらに先行研究により、一致の発達が観察されている非標準変種の一つ、パプア・マレーについてMax Planck Instituteの言語アーカイブから公開されているコーパスの精査も行った。 口語インドネシアと標準的インドネシア語のコーパスに関しては、主要項である動作主を表す要素と動作の対象を表す要素の属性を網羅的に把握するためのアノテーションを行った。 上記の作業の一方で派生する研究としてマレー語の発話動詞における一致に関わる通言語的研究を行った。古典マレー語において発話動詞の語根形に人称クリティックが後続する形が直接話法を導入する規範的な形として用いられていたが、18世紀後半から発話動詞の派生形がその形式に代替されるようになり、従来の語根+クリティックという形は引用マーカーのような形で引用部分に後続するようになった。この変化の過程についてコーパスを用いて検証する研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コーパス整備が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度まで進めてきたコーパス整備に一区切りをつけ、一致に関わる現象の分析を開始する。特にジャカルタで収集したインドネシア標準語・口語データを基準点とし、パプア・マレーおよびマカッサルで話されているインドネシア語データを分析する。パプア・マレーについては動作主を表す要素の一致が文法化しつつあることが知られているが、コーパスを精査することによりその文法化の詳細を明らかにする。
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