研究課題/領域番号 |
20K00607
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
水野 かほる 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (90262922)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 司法通訳 / 法廷通訳 / 通訳人の負担 / 通訳の正確性 / 通訳の正確さ / 等価性 / やさしい日本語 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、正確で等価な法廷通訳を可能にするために、実際に法廷通訳に関わる参与者が通訳の役割をどのように認識するべきであるか、それぞれがどのような姿勢で通訳の場に臨みどのような言語行動をとることがより正確な通訳を実現することにつながるかを実験によって明らかにし、具体的な言語表現例を含んだ指針を提供することである。
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研究実績の概要 |
2022年度は、「法廷通訳人の仕事に関する調査」を新たな調査項目を加えて実施した。本調査は、静岡県立大学法廷通訳研究会が2012年と2017年に法廷通訳人に対して実施した調査と同様の調査を、さらに5年後の状況を把握するために実施したものである。最高裁判所発行の『ご存じですか法廷通訳』によると、近年の外国人被告人数も通訳が必要な被告人数も大幅に増加している。にもかかわらず、裁判所の通訳人候補者の名簿に登載されている法廷通訳人の数はこの10年一貫して減り続けており、2012年は4,067人、2017年は3,823人、2022年には3,321人となっている(最高裁判所事務総局刑事局『ごぞんじですか法廷通訳』による)。法廷通訳人の減少の要因は何か、減少を止めるには何が必要なのか、それを考えるのに本調査は有効であると考えられる。2021年度の実施状況報告書に書いた通り、上記調査後に、調査回答者の一部の法廷通訳人が参加する座談会を行った。法廷通訳人調査は10年前から継続している法廷通訳人の仕事の実態把握を目的とするものであるが、座談会からは、より切実な通訳人の実態や思いを知ることができた。当初の計画からは研究方法は少し変わったが、2022年法廷通訳人調査から法廷通訳において正確で的確な通訳を実現するためには、法曹三者の簡潔で分かりやすい話し方が重要であることが再度明らかになった。また、今回の調査では、新型コロナウイルス感染症対策下で通訳を行う際の課題や、感染症拡大による法廷通訳の仕事の変化についても明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大を要因として予定していた実験調査はできなかったが、10年前から続けてきた法廷通訳人対象のアンケート調査を実施することができ、10年間の法廷通訳人の仕事を巡る負担の状況を継続して把握することができた。ただ、当初の研究テーマに関する議論としては、研究目的を遂行する方法として間接的な対処方法になったかもしれない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年に実施した法廷通訳人に対する調査が、2012年に実施した調査から10年後の調査になることから、この10年間の司法通訳研究をまとめる意味でも、我が国における法廷通訳を巡る状況がどのように変わったのか、或いは変わっていないのかを一度振り返って考えてみたい。本研究のテーマである「正確で的確な法廷通訳の実現」は、これまでずっと法廷通訳における目指すべき目標であった。現実の法廷通訳の現場において、現在の状況はどこまで目標に近づけているのかを考察したいと考える。
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