研究課題/領域番号 |
20K00609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
伊集院 睦雄 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (00250192)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 漢字 / 音読 / 文字判断 / 絵の命名 / 拍数効果 / 言語普遍性 / 読みのモデル |
研究開始時の研究の概要 |
「読み」において認められる現象とその発現機序は,使用言語にかかわらず普遍的なものなのだろうか?これまでに,出現頻度効果,規則(一貫性)効果,心像性効果などの「読み」に関わる多くの現象が,アルファベットと日本語を用いる言語圏で共通に認められてきた.一方,他の言語では認められているのに日本語では認められていない「読み」の現象に音読時のシラブル数効果がある.本研究では,日本語における拍数効果を音読課題,文字判断課題,カテゴリー判断課題などを用いて再検証し,その効果が処理過程のどのレベルで生じているのかを明らかにすることにより,言語処理の普遍性を検討する.
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研究実績の概要 |
本研究は,他言語の「読み」の過程で認められているシラブル数効果(同じ文字数を持つ語でもシラブル数が長ければパフォーマンスが悪くなる)が日本語でも認められるかを音読課題により検証し,この日本語における拍数効果が,言語処理過程のどのレベルで発現しているのかを文字判断課題,絵の命名課題を用いて検討することを目的とする. これまでに,日本語の音読における拍数効果を検討するため,拍数を操作した漢字一文字語の音読課題の予備実験を実施した.拍数と読みやすさ(出現頻度と心像性を利用)を操作した刺激語(拍数3条件(1拍,2拍,3拍)および読みやすさ2条件(易読,難読))を用いた結果,難読条件において音読潜時に拍数効果が現れ,1,2拍条件に比べて3拍条件で長くなる傾向が認められた.本結果は,出現頻度や心像性値の低い「読みにくい」刺激語を用いれば,拍数効果を検出できる可能性のあることを示唆している. ただし,この拍数効果は,統計的には有意傾向に過ぎなかったため,令和4年度には,刺激条件や刺激語を再検討して拍数条件を2条件(1拍,3拍)に絞り,読み難い文字だけを用いて改めて対面による音読実験を実施した.その結果,音読潜時に拍数の影響が参加者分析,項目分析とも有意に認められ,1拍条件に比べ3拍条件で長くなり,日本語においても多言語に認められている読みの過程におけるシラブル効果が現れることが明らかとなった.また,この漢字一文字の音読結果が,①漢字二文字語の音読にも認められるか,②音読以外の課題(文字判断課題,絵の命名課題)にも認められるかを検討するため,令和5年度にはこれらの課題に使う刺激を選択し,刺激の妥当性に関する予備調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
拍数を操作した漢字一文字語の音読課題の本実験までは実施することができた.音読潜時は1拍条件に比べ3拍条件で長くなり,日本語においても多言語に認められている読みの過程におけるシラブル効果が現れることが明らかとなった.しかし,漢字二文字語の音読課題や,音読以外の課題(文字判断課題,絵の命名課題)は,刺激の選定は終了しているが,実験自体は未実施のままである.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,遅れている実験を順次実施していく.予定している実験は,漢字二文字語の音読課題,文字判断課題,および絵の命名課題である.すでに刺激の選択と刺激の妥当性の検討は済んでいるので,刺激提示・反応時間測定の装置を作成後,すぐに課題を実施し,結果をまとめる予定である.
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