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日本語における体言性と機能変化の相互関係

研究課題

研究課題/領域番号 20K00628
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分02070:日本語学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

宮地 朝子  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (10335086)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード副助詞 / 機能語化 / 連体用法 / ナラデハ / 接辞 / 接語 / 内容語化 / 係助詞 / 第三形容詞
研究開始時の研究の概要

日本語史には文法変化の事例が豊富である。本研究では、機能語の変化を支える日本語の基盤的特質として、「体言性」に着目する。副助詞類の歴史的出自は主に名詞と考えられてきたが、出自不明(サエ・シカ)や、機能語の複合構成体から一語化した類(ナンテ・ナンカ・ナラデハ等)も多い。名詞出自という観点を離れてこれらの史的変化を精密に記述し、日本語において「体言性」が機能語の確立や変化に与える影響の内実を描き出す。

研究実績の概要

本研究は、不変化・無活用という形態的特質「体言性」が日本語の文法変化にいかに関与しているかについて考察するものである。「体言」を名詞とは独立の範疇的区分として位置づけ直し「体言性」を文法変化の一要因とみる。とりわけ副助詞を経由した文法変化に着目することで、副助詞類の文法史研究の精密化と日本語の文法変化を捉える観点の整理を目的とする。
2023年度は計画4年目である。前年度に引きつづき、①「ならでは」の動態に関する考察を継続し、②副詞・副助詞類および「ならでは」の類例の用例調査を行った。また継続して、③ノ連体用法の形態統語的な位置づけと、形式ごとの可否・広狭に関与する要因の考察に取り組んでいる。
①「ならでは」に関しては、論文集収載論文1件が公刊された。また機能変化の画期となる近代期の様相を精査して研究報告1件を行った。次世代デジタルライブラリ(国立国会図書館)の全文検索機能を活用した調査の結果、近代期の口語体書き言葉の整備の中で、発話や句の引用とそれに対する注釈が行われる媒体で「[引用句]ならではの感あり」という文型が生じ、これが端緒となってノ連体用法が確立したこと、「感」の類が他の名詞に拡張するなかで否定極性の消失が決定づけられ、接尾辞への機能変化を促したことがわかった。②については、やや作業が停滞し試行錯誤に時間を要している。観察対象を変えながら注目点を見出していきたい。
③について、今年度は、名詞以外にノ連体用法を持つ語類の文法学説における位置づけの再検討に着手した。「体言」「副用語」「副詞」等の分類は、ニ・ト・Φ、ノといった機能語およびその後接形を品詞論的にどう位置づけるかによって異なる。「体言性」に関与する形態・統語・意味的条件が史的に変化している可能性も考慮に入れ、「体言性」と文法変化の関係性について引きつづき考察していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「ならでは」以外の形式、副詞類や第3形容詞語幹の類の調査に関しては、諸々不調の時期もあり、やや作業が停滞し試行錯誤に時間を要している。用例収集の作業と、ノ連体用法の可否や広狭といった動態を支える要件についての多角的な考察においても、論証に適した対象語の選定、指標の検討と試行錯誤に時間を要している。観察対象を変えながら注目点を見出していきたい。

今後の研究の推進方策

考察の方向性において、副詞性の句、副助詞としてのあり方と「体言性」を同時に保持する条件についてはノ連体用法を支える形態・統語・意味的条件が鍵となると考える。この見方は適確なものと判断している。ひきつづき計画に即して、現在の作業を継続し、ノ連体用法の有り様に着目した追究を進めて行く。
個々の言語形式の共時的・通時的・地理的動態について、記述の精査を旨とし、機能変化の制約と動態のパターンを見いだす考察を深める。
2023年度の取り組みからは、学説史の見直しにおいて、連体詞とされる語類に着目している。観点の切り替えに示唆が得られる見込みをもっている。
ノ連体用法に関しては、併せて、理論言語学、特に統語論、意味論の先端的知見も積極的に参照援用する。内容語化と接辞化といった一見矛盾する方向の文法変化を同時に示す類例については、類型論の知見も参照したい。
研究期間も残り1年となった。口頭発表、論文執筆を含め、成果の公開に努めるとともに、次の研究課題への発展と接続を視野に入れて本研究課題の達成と残された課題を整理してまとめたい。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「ならで」「ならでは」の一語化と機能変化2023

    • 著者名/発表者名
      宮地朝子
    • 雑誌名

      ハイコ・ナロック、青木博史(編)『日本語と近隣言語における文法化』(ひつじ書房)

      巻: - ページ: 109-132

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「ならで」「ならでは」の一語化と機能語化2023

    • 著者名/発表者名
      宮地朝子
    • 雑誌名

      ハイコ・ナロック、青木博史(編)『日本語と近隣言語における文法化』(ひつじ書房)

      巻: -

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 現代日本語「ならでは」の用法2022

    • 著者名/発表者名
      宮地朝子
    • 雑誌名

      斎藤倫明・修徳健(編)『語彙論と文法論をつなぐ:言語研究の拡がりを見据えて』(ひつじ書房)

      巻: - ページ: 227-251

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 副助詞のノ連体用法の史的展開2021

    • 著者名/発表者名
      宮地朝子
    • 雑誌名

      野田尚史・小田勝(編)『日本語の歴史的対照文法』(和泉書院)

      巻: - ページ: 87-111

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 副助詞類の史的展開をどうみるか:これからの文法史研究2020

    • 著者名/発表者名
      宮地朝子
    • 雑誌名

      日本語文法

      巻: 20(2) ページ: 57-73

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 日本語の機能語“ならでは”の文法変化をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      宮地朝子
    • 学会等名
      台湾大学・名古屋大学第八回大学院生研究交流集会「多様性からつながる人文学・日本研究」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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