研究課題/領域番号 |
20K00632
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
Daniel Long 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00247884)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 借用語 / 言語接触 / 外国語における日本語の影響 / 外行語 / 意味変化 / 旧植民地と日本語 / 語形変化 / 音韻変化 / 旧南洋庁 / 借用語辞典 / ハワイ英語 / パラオ語 / 太平洋諸語 / ヤップ語 / 旧南洋諸島 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの旧委任統治領のJOL研究で現地調査できなかったマーシャル語およびコスラエ語のフィールドワークを行なう。カビンガマランギ語・ヌクオロ語など国家や州の「公用語」になっていない言語は現地調査が現実的ではない。これらの母語話者が多く住むミクロネシア連邦の首都ポナペ、およびハワイ州で聞き取り調査を集中的に行なう。データ入力、点検、修正、処理をし、言語間の比較分析を行なう。学会での発表を行ない、他の研究者のフィードバックを得る。『日本語起源借用語集』を編集して、国際会議で研究発表を行なう。ハワイやブラジルの日系人コミュニティへの還元の意をこめて、インターネット上のJOL集を作成し、公開する予定。
|
研究実績の概要 |
作成中の『日本語起源借用語逆引き辞典』の作業が順調に進んでいる。2023年度は特に例文採集に力を入れている。これは「作例」ではなく、いわゆる自然発生的に使われる実際の使用例である。これらは特に意味変化を解説する際に重要な裏付け証拠となる。インターネット上に多言語データベースが存在する。これは元々英語で書かれた数万点の雑誌記事が世界中の言語に翻訳されているものである。本科研費が扱うチャモロ語、コソラエ語、マーシャル語、パラオ語、ポナペ語、チューク語、ヤップ語、ハワイ英語の8言語のデータもある。 例としてマーシャル語のamimonoが挙げられる。日本語の「編み物」に由来するが、意味拡張によって「手作り民芸品全般」にまで意味広がった。こうした意味変化はこれは母語話者を対象とした面接調査でも分かっていた。しかし、ロングはこれらの言語が話せないため、面接調査は英語で行なっている。日本の口頭発表や研究論文でこの劇的な意味変化が起きていると述べると、(当然ながら)証拠を示すように要求される。面接調査で(言語学の専門的知識のない)一般話者に作例を頼んでも「amimonoを買った」のように、意味変化を特定するために役立たない文を作ることが多く、非常に困難を伴う作業である。新しく発見したインターネット上の雑誌記事ではマーシャル語のamimonoが英語のcarved workやwoodworking、日本語の「木工」や「木材の加工」に当たる。意味変化が生じている動かぬ証拠となっている。現在のところ、こうした使用例は162文の整理(データベース化)が完成している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長引いたコロナ禍で現地でのフィールドワークができなくなっていたが、必要に応じて、新たなデータ採集法を模索した結果、『日本語起源借用語逆引き辞典』の製作が順調に進んでいる状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる2024年は上記のような例文の採集と整理に努める。
|