研究課題/領域番号 |
20K00657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
島 越郎 東北大学, 文学研究科, 教授 (50302063)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 発音されない主語 / 付加詞 / 義務的・随意的 / コントロール / フェイズ理論 / 動詞派生名詞 / 動名詞 / 非定形節 / 受動文 / 中間動詞 / 発音されない項 / 変項 / 格 / フェイズ / PRO |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、時制を持たない節である非定形節の主語に関する問題を考察する。時制を持つ定形節とは異なり、非定形節の主語は発音されず、また、その解釈は非定形節が生起する統語環境により大きく異なる。この様な特徴を持つ非定形節の主語の振る舞いを、生成文法の最新モデルである極小主義プログラムの枠組みの下で分析する。具体的には、極小主義プログラムにおいて仮定されている構造構築の単位であるフェイズに基づき、非定形節の主語は統語構造が構築される統語部門では存在せず、統語構造がフェイズ単位に意味解釈部門に転送される段階で統語構造に導入され、転送される統語構造内に生起する名詞句を先行詞とするという仮説を提案する。
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研究実績の概要 |
Landau (2021)[A Selectional Theory of Adjunct Control, MIT Press] は、時制を持たない非定形の付加詞内の主語が発音されない場合、主語の解釈が付加詞が修飾する節の主語に限定される厳密義務的コントロールと、そのような解釈の限定が見られない交代義務的・随意的コントロールの二種類の付加詞コントロールのパターンが存在することを指摘している。そして、厳密義務的コントロールを示す付加詞の構造にはPROのみが生起するが、交代義務的・随意的コントロールを示す付加詞の構造にはPROが関与する場合とPRO以外の空要素であるproも生起する場合があると分析している。本研究では、Landauが観察する二種類の付加詞コントロールに関する事実を受け入れるが、その分析には問題があることを指摘し、二つの付加詞コントロールの違いを説明する代案を提示した。具体的には、厳密義務的コントロールと交代義務的・随意的コントロールの付加詞に対してPROのみを含む同一の構造を仮定し、PROの解釈が統語構造を構築する際に課せられるフェイズ条件に従って決まると提案することにより、二つの付加詞コントロールの違いを説明することを試みた。本研究の分析によると、厳密義務的コントロールの付加詞節は動詞に直接付加するため、フェイズを形成する動詞句が形成された派生の段階で厳密義務的コントロールのPROは動詞句内の主語を義務的に先行詞とする。他方、交代義務的・随意的コントロールは動詞句に付加するため、動詞句が形成された段階で動詞句内の主語は交代義務的・随意的コントロールのPROを束縛しない。その結果、交代義務的・随意的コントロールのPROの先行詞は、動詞句フェイズの上位のCPフェイズが形成された段階において随意的に選ばれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では、主語や副詞節として生起する非定形節内の発音されない主語の解釈について研究する予定であったが、副詞節の考察にとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
主語として生起する非定形節内の発音されない主語の解釈について研究を行う予定である。
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