研究課題/領域番号 |
20K00658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 芳樹 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (20322977)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 文法化 / 否定語・否定極性表現 / 連濁 / 複雑形容詞の語彙化 / 右方周縁部の獲得 / CHILDES / 日本語・中国語比較統語論 / 与格主語構文 / 形式名詞の文法化 / 直示的移動動詞句の構文化 / 言語変化と言語類型論 / 連濁と文法化 / 極小化子NPIの文法化 / 反意語並列・等位接続構文 / 名詞編入と語彙化 / 尺度名詞・形容詞構文 / 容認性判断の個人差 / フェイズ理論と派生接辞 / 普遍文法 / 形態統語論 / 史的統語論 / 言語獲得 / ミクロパラメータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、名詞・名詞句が関係する日英語の特定の構文の通時的な変化と、幼児の言語獲得の過程での同構文の発達がどのように起きるかを、歴史コーパスとCHILDES内のデータをもとに比較し、共通点と相違点を抽出するとともに、進行中の統語変化については、大規模な容認性質問調査を通じて世代間差の有無を確認する。その際には、幼児の過剰生成や若者の刷新表現が言語変化を引き起こすという仮説(Cournane (2017, 2020))、頻度と容認性には相関があるとする仮説(Bader and Haussler (2010))、経済性の原理 (Chomsky (2005))、分散形態論などの仮説を用いる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、東京外国語大学AA研共同利用・共同研究課題「理論言語学と言語類型論と計量言語学の対話にもとづく言語変化・変異メカニズムの探求」の2年目に当たり、そのメンバー19名の間で年6回の研究会(うち2回は公開)を開催したほか、メンバー2名との共同研究の成果も発表した。 また、東北大学研究プロジェクト・新領域創成のための挑戦研究デュオ「鳥類コミュニケーションシグナルの解析から理解する言語の生成と認知の脳内機構」 (代表:安部健太郎)も2年目を終えた。 研究業績としては、共編著『コーパスからわかる言語変化・変異と言語理論3』を令和 4年11月に開拓社から刊行したほか、国際ジャーナルLinguaに単著論文1編、国際ジャーナルStudia Linguisticaに別の単著論文1編(いずれも、日本語の文法化に関するもの)が採択され、電子版が先行公開された。また、The 12th Workshop on Phonological Externalization of Morphosyntactic Structure: Theory, Typology and History (Phex 12)で口頭発表した日本語の連濁と文法化に関する論文が、Proceedings (Phex 7)に掲載された。 口頭発表としては、和田裕一氏・新国佳佑氏との共同研究を、ヨーロッパ言語学会(SLE)の第55回大会で8月に発表したほか、AA研共同研究課題の第6回研究会(公開)で、与格主語構文についての縄田裕幸氏との共同研究の成果と、幼児による日本語の右方周縁部の獲得に関する共同研究の成果を発表した。また、筆者の次女の発話を 7歳3ヶ月まで記録したものを、宮田スザンヌ氏に追加提供した。これはCHILDESから公開される予定である。 また、肥筑方言の「の」主語についての森山倭成氏らとの共同研究も開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京外国語大学AA研共同利用・共同研究課題「理論言語学と言語類型論と計量言語学の対話にもとづく言語変化・変異メカニズムの探求」が、 3年計画のうちの2年目を無事終了し、そのメンバーの大半が寄稿する論文集『コーパスからわかる言語変化・変異と言語理論3』を予定通り昨年11月に刊行できた。 また、国際ジャーナルに投稿していた論文2編がいずれも採択され、交刊された。 また、4件の共同研究も進んでおり(杉崎鉱司氏、森山倭成氏、和田裕一氏・新国佳佑氏、縄田裕之氏)、その成果の一部は、すでに上記論文集に収録されている。 また、11年目になる「言語変化・変異研究ユニット」の活動も順調に経過している。 ただし、鳥のさえずりの神経科学を専門とする研究者・安部健太郎氏を代表者とする共同研究「挑 戦研究デュオ:鳥類コミュニケーションシグナルの解析から理解する言語の生成と認知の脳内機構」については、理論言語学・史的統語論の立場からの貢献がさほど明確であるとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
単著の研究、杉崎氏との共同研究、および、縄田氏との共同研究については、コーパス調査と仮説演繹法による従来通りの研究を続ける。 和田氏・新国氏・森山氏との共同研究については、コーパス調査と大規模容認性調査と統計解析による実験心理学的研究を行う。 安部氏・乾氏・大久保氏との共同研究では、理論言語学の知見を代表者に提供する。 また、形態格についての論文集を海外の出版社から出版するべく提出した企画が2023年3月末に採択されたので、2023年度は、この論集の編者として全体の取りまとめを行うほか、寄稿者として複数の論文を執筆する予定である。
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