研究課題/領域番号 |
20K00664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
Ginsburg Jason 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80571778)
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研究分担者 |
松本 マスミ 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10209653)
寺田 寛 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90263805)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 当語理論 / コンピュータモデル / 樹形図 / 併合 / 統合理論 / 統語理論 / 生成文法 / 英語学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではコンピュータの優れた処理能力をいかして、人間が自然に扱う言葉を研究する。ミニマリスト・プログラム(Chomsky 1995)と呼ばれる言語学の接近法は最小限の理論的道具立てを用いて、言語の正体を究明しようとする取り組みである。本研究では、ミニマリスト・プログラムに基づいた統語理論の研究を検証するためのコンピュータプログラムを構築する。このプログラムは大量の英文データ(疑問詞疑問文、動名詞構文、同族目的構文と関係節など)の構造を正確に示せるように開発する。本プログラム構築とそのアウトプットを検証することにより、統語理論の正確性を確認し、究極的に人間の言語機能の解明に貢献できる。
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研究実績の概要 |
本研究の主な目的はミニマリスト・プログラムの最新の統語理論を検証するためのコンピュータプログラムを構築することであり、21年度の研究に引き続き22年度もこの目的を達成するために研究を続けた。 付票貼付とθ役割はどのように自由併合を制限できるのかについて研究を行い、研究成果を2022年に行われたThe Joint Conference on Language Evolutionで公表した。22年度に筆者は自由併合の研究を続けた。特に、極小主義の立場から問題のありそうな複雑な操作であるところの主要部移動と素性継承を筆者が扱っている統語計算のモデルから取り除いた。改良したモデルが正確に複数の種類の構文を生成できることを検証し、現在論文作成に取り組んでいる。関係節のコンピュータモデル化についての論文修正を海外研究協力者Sandiway Fongと一緒に取り組み、学術雑誌の2次審査のため、再投稿した。虚辞構文をモデルに取り入れ、この構文における一致関係はどのように行われているのかについての論文を作成し、学術雑誌に投稿した。複数の付票貼付の方法を比較して、どの方法が不定詞、助動詞、補部を取る動詞のある構文を一番良く説明できるかコンピュータモデルを利用して、検証した。この研究に関する論文を学術雑誌に投稿し、1次審査の指摘を受けて、書き直して再投稿した。主に日本語における複合動詞構文の研究を行い始めた。複合動詞では通常、二つの節構造を必要とする内容を一つの節構造のある構文のみで表すことが可能であるため、併合によって作られる構造が最適に利用されると仮定して、統語分析を行った。海外研究協力者と分担者の寺田寛と松本マスミと共同で複合動詞についての研究成果を2023年に行われたThe 30th Japanese/Korean Linguistics Conference で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
22年度、自由併合をどのように制限できるのかについての研究を続けた。モデルの効率化に力を入れて、複雑すぎると思われる操作(主要部移動と素性継承など)をコンピュータモデルから排除し、必要に応じて問題解決を行なった。難易構文と中間構文をモデルに取り入れる予定であったがすでに取り組んでいる種類の構文(不定詞、助動詞、疑問文、虚辞構文など)のモデル化に多くの時間がかかった。 言語の経済性の立場から複合動詞の存在は説明できると仮定し、なぜ日本語のような言語に複合動詞がたくさんあるが英語のような言語にはほとんどないのか、そして、複合動詞の実際の構造はどうなっているかについて研究し始めた。 いくつかの論文の執筆に努めた。付票貼付の複数のモデルを比較する論文を作成し、学術雑誌に投稿した。そして審査員のコメントをもとに先行研究をより深く検証し、学術雑誌に再投稿した。項に与えられるθ役割と付票貼付を用いれば自由併合を制限することができるという趣旨の論文を執筆し、The Joint Conference on Language Evolutionの論文集で公表た。長距離の一致関係を必要とする虚辞構文のモデル化についての論文を執筆し、学術雑誌に投稿した。関係節のコンピュータモデル化についての論文修正(研究協力者Sandiway Fongと共著)を行い、学術雑誌の2次審査のため、再投稿した。複合動詞の統語構造についての論文(海外研究協力者と分担者の寺田寛と松本マスミと共著)を執筆し、The 30th Japanese/Korean Linguistics Conference の論文集に掲載用の原稿を送付した。 21年度は、海外協力研究者と直接会って研究を予定どおりに進めることができなったが、22年度は実際に大阪教育大学に招くことができたため、より効率よく共同研究に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、今後も構築中のコンピュータモデルを拡大することに取り組む。今年度は、自由併合の研究を続ける予定である。高性能のコンピュータを利用して、排除できる操作を取り除くことでモデルのスリム化を図り、対象となるデータのモデル化を目指す。22年度には、取り組む予定のデータに関して、遅れが生じている。23年度には、付票貼付と自由併合を取り入れている最新のモデルに関係節、動名詞構文、そして難易構文のモデル化を目指して、対象データの構造に関する分析を行う。 海外協力研究者Sandiway Fongと分担者の寺田寛と松本マスミとの討論を重ねながら分析を行う予定である。打ち合わせを行うことでより効率よく、コンピュータモデルの問題点を把握・解決でき、論文作成を進めることができる。直接会って研究打ち合わせを行うことができない場合も多いため、ウェブ会議システムとメールなどを適宜利用する。 研究成果は随時公表する予定である。ウェブ上にモデルの結果を公開する。また、論文作成と学会発表で研究結果を公表する予定である。特に、現在取り掛かっている論文(効率的な自由併合と付票貼付についての論文、複合動詞についての論文)の完成に取り組む予定である。また、査読中の論文(付票貼付のモデルを比較する論文、関係節についての論文、長距離の一致関係と虚辞構文に関する論文)の修正などに取り組む。
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