研究課題/領域番号 |
20K00670
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小畑 美貴 法政大学, 生命科学部, 教授 (80581694)
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研究分担者 |
中尾 千鶴 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (90795642)
谷 智子 東洋大学, 情報連携学部, 助教 (80638205)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 併合 / ラベル / 素性 / 格付与 / インターフェイス / 削除現象 / 生成文法 / 焦点移動 / 分裂文 / 意味解釈 / 削除 / 人称詞 / 認知モード / 転送 / モダリティ表現 / 機能範疇 / 談話分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、ヒトに生得的に備わるとされる「言語システム」の解明を目指すべく、「構造」「意味」「語用」の3つの観点から包括的研究を行う。特に(1)機能範疇を伴う依存関係が統語部門においてどのように構築され、インターフェイス(特に意味・語用)においてどのように解釈をうけることで、最終的な発話へと繋がっているのか、また(2)機能範疇を伴う依存関係の特性には、どのような個別言語間差異が生じているのか。またそのような差異を統一的に捉えられる言語システムとはどのようなものか、という2つの問いを中心に研究を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、母語における「構造構築及び言語使用の仕組み」を明らかにする為に、特に以下の2点に関して研究を行うことにある。①機能範疇を伴う依存関係に注目し、構造構築の要となる操作である「併合(Merge)」がどのように統語表示を生成し、その表示がどのように解釈を受けるか解明する。②①の研究成果を、カーボ・ベルデ語を含む多様な言語データによって多角的に検証する。上記の研究目的を達成する為に、2023年度は以下の2点を中心に共同研究を行った。まず、Obata and Nakao (2023)において、併合によって構築された統語表示に対するラベル付けに関して新たな提案を行った。Chomsky (2013)のラベル付けアルゴリズムの下では、TPと(他動詞を伴う)VPはいずれも<phi, phi>という同一のラベルが付き区別することが不可能である点を指摘し、一致現象の細かなタイミングを注視することによって、これらを区別可能であることを示した。更に、このシステムの下では「2段階」での格付与システムが不可欠であることを述べた。また、Nakao and Obata (to appear)では、意味・語用の解釈にも影響を与える削除現象に関して考察した。日本語ではフェイズからの要素の抜き出し後に、そのフェイズ全体(CP)を削除することは出来ないというBoskovic (2014)の主張に対し、Takahashi (2020)ではそのような削除がスクランブリングの場合には可能であることを示している。この問題に対し、「併合操作と削除マーキングのタイミング(順序)の問題である」ことをObata, Epstein and Baptista (2015)に基づき主張した。更に、ラベルのインターフェイスにおける解釈や、併合によって残されるコピーの解釈について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究代表者と分担者とで複数回にわたり共同研究を行うことができ、その研究成果を国際学会で発表し、出版することが出来た。昨年度、分担者が1名減ったことにより、包括的な研究を行う上で若干の修正が必要ではあったが、期間を延長することで、おおむね予定通り順調に研究を行うことが出来ているように思われる。2023年度の研究に基づいて、次年度は更に研究を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は主に以下の3点を中心に研究を進めて行く予定である。第一に、Obata and Nakao (2023)において、通言語的に時制句は<phi, phi>ではなくTPというラベルを持たなければならないという帰結、中尾・小畑(2021)においては、焦点移動を含む節はCPではなく<Foc, Foc>のラベルを持たなければならないという帰結を導いた。これらの研究に基づき、24年度は節タイプごとのラベル付けの制約について更にデータの範囲を広げて考察し、体系的な主張を組み立てることを目標としたい。第二に、24年度は本研究課題の最終年度であるので、これまでの研究成果を、新たな言語データによって検証することを考えている。具体的には、カーボベルデクレオールのデータを使用し、発展的な研究に力を入れる予定である。データの収集を新たに行い、これまでの研究成果を再検証することで、本研究課題のまとめを行う。第三に、これまで同様に研究成果の公表を積極的に行う。国際学会や世界的なジャーナルへの投稿を行うことで、研究成果を広く一般に公開し、本研究課題を締めくくる予定である。
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