研究課題/領域番号 |
20K00673
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
住吉 誠 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10441106)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 脱規範性 / 変則性 / 関係副詞 / where / 関係詞 / commonタイプ形容詞 / 補文 / パタン / 規範 / フレイジオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来正誤の問題として考えられてきた規範を、英語の成り立ちに大きな影響を与える要因としてとらえ直し、データソースから脱規範性・変則性を示す英語の表現・構文を発掘して、フレイジオロジーの立場でそれらを生み出す力の解明をめざすものである。「多数の不正用法のなかで用意されるものは明日の言語である」というシャルル=バイイのことばが示すように、脱規範性・変則性の解明は言語の成り立ちそのものの解明である。本研究は、規則性を追求する言語研究とは別の視点から英語の持つ創造性・革新性を示し、英語の実証的研究の深化に寄与するものである。
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研究実績の概要 |
本年度の実績を、研究計画に記したデータの収集・分析と成果の公表の2つの点から述べる。 【データの収集・分析】ペーパーバック10冊を入念に読み込み、本研究課題の対象とする脱規範性・変則性を示す例を多数収集した。2022年度は、主に脱規範的冗長性と脱規範的省略を示す例を中心に収集し、併せてその他多数の脱規範的・変則的例を取りこぼすことのないように収集した。これらは研究初年度で整えたパソコン機器でデータベース化し、今後の研究に活かしていく予定である。分析については、2021年度からの持ち越しになっていた脱規範的関係詞の汎用的使用について分析を継続して行った。さらに、二重that節構造の示す脱規範性について、新たなデータと文献の知見を加えて分析し直し、論考としてまとめた。これについては2023年度に公刊予定である。脱規範性・変則性を示す新たなデータを分析し、脱規範的冗長性を示す of や、that節を取る動詞の増加傾向、前置詞が省略される脱規範的簡略化、新たな成句の出現などの現象を発掘し、脱規範性・変則性を生む力の解明を目指してこれらの分析を進めている。 【成果の公表】前年度よりデータを収集し継続的に研究を進めていた関係副詞 where の示す脱規範的汎用性の分析について論文を公刊した。本論文で、従来触れられることがあまりなかった関係副詞 where の多様な使用には、where が本来的に持っていた場所の意味の希薄化とそれに伴う汎用性の高まりが関係していることを指摘した。また、同様の内容について口頭発表を行った。さらに、脱規範性を示す二重 that 構造については論考としてまとめ、すでに原稿を提出済みである(2023年度中に公刊予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の進捗状況については、以下に示すようにデータの収集・分析については当初の想定以上に順調に進んでいる。一方で、研究成果の公表は、ここ数年のコロナ禍もあり予定よりも遅れた。しかし、2023年度は成果を予定通りに公刊し、また新たな論考の公刊の準備を整えており、研究課題全体としてはおおむね順調に進捗していると判断できる。 【データの収集・分析】当初の想定通りに脱規範性・変則性を示す実例を数多く収集してデータベース化しており、この点については全く問題ない。脱規範的冗長性を示す of、新たに構造を拡張させている動詞・形容詞など、本研究課題の遂行に必要なデータは十分に確保できている。また、研究代表者がこれまで公刊した内容をさらに深化させることのできる新たなデータも集積できており、研究資料の収集については滞りなく進んでいる。また、分析を行うための文献の渉猟、最新知見の収集も遅滞なく進んでいる。特に、従来あまり参照されることのなかった南欧や東欧の研究者の知見に触れ、本研究課題の分析の手助けとできていることは、当初の想定以上の進展と言える。 【成果の公表】本年度は、研究会での口頭発表と論文の公刊を予定通り終えた。特に口頭発表においては、英語語法文法研究の最前線にいる研究者から多くの助言をいただき、研究内容をさらに進展させるためのヒントを得ることができた。口頭発表により、本研究課題の最終年度に向けて研究内容の充実をはかる機会を持てたことは本年度の大きな成果のひとつであったと言える。公刊した論文は29ページにわたる大部なもので、前年度までのデータの収集・分析の結果を余すところなく盛り込んだものである。 以上のことから本研究課題はおおむね順調に進展していると判断するものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について、データの収集・分析と成果の公刊の点から述べる。 【データの収集・分析】2023年度は、本研究課題最終年度となるため、データの収集・分析よりも成果の公刊に焦点を置く予定であるが、さらなる課題の発見のためにも、データの収集・分析は滞りなく進めて予定である。特に、データの収集をコーパスだけに頼るのではなく、ペーパーバックのデータをヒントにコーパスからデータを収集するという、「実例周りコーパス行き」の手法は、本研究課題の対象とする脱規範性・変則性を示す例の収集に効果をあげており、このまま継続していく。また、知見の収集、文献の渉猟はこれまで同様に進めていくが、特に英米の研究者のみならず、南欧や東欧の研究者の成果についても積極的に触れるようにし、本研究課題が広範な偏りない知見にもとづいたものになるように努めていく。 【成果の公刊】2023年度は本研究課題最終年度であるため、2022年度までにデータの分析が終了している脱規範的・変則的現象について成果を発表・公刊する。すでに二重that節構造について論考を提出済みであるが、脱規範的冗長性を示す of の例、脱規範的簡略化を示す例などについての分析について、論文の公刊を滞りなく進めていく予定である。また、本研究課題の4年間の総まとめとなる論考を準備中であり、早期の公刊を目指したい。
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