研究課題/領域番号 |
20K00681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
岩部 浩三 山口大学, 人文学部, 教授 (90176561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 総称文 / 認知能力 / 冠詞 / ヘブル語 / 代名詞的コピュラ / Striking Genric / 量化 |
研究開始時の研究の概要 |
総称文の多様性とその使い分けにより,総称文の負の側面(社会的偏見等)を克服するための枠組みを検証する。たとえば「サメは人を襲う」という総称文によって,子供を危険から守ることができる。しかし同時に「イスラム教徒はテロリストである」という総称文は社会的偏見を招く。英語においては,総称文は無冠詞複数形,不定冠詞単数形,定冠詞単数形の3種類があるが,その使い分けによって負の側面を克服できるという見通しがある。「サメは人を襲わないとは言えない」のような二重否定文は元の総称文と同義的ではなく社会的偏見につながる要素もないが,危険回避という場面においはこれが同義的に使われるのである。
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研究成果の概要 |
総称文は子供の認知能力に対応したデフォルト総称文と大人の認知能力に対応した有標総称文に分けられるという「認知能力の複合性仮説」を英語に基づいて定式化し,英語以外の言語で検証を行った。まず,フランス語やドイツ語では,有標総称文が英語とほぼ同様の形式であるのに対し,デフォルト総称文の定冠詞の有無がまったく異なることを確認した。さらに冠詞体系を持たない日本語やヘブル語において総称文の多様性がどのように表現されるかを追求した。そして日本語には「というもの」「ものだ」という表現があり,ヘブル語では2種類のPronominal Copula(代名詞的コピュラ)が使い分けられていることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
総称文にはごくわずかの例にしか当てはまらないのに容認される場合があり,その多くは生命にかかわるような危険を述べたものである。このタイプはデフォルト総称文の形式をとり,有標総称文では不自然になる。例えば,Sharks attack bathers(サメは海水浴客を襲う)/??A shark attack bathers(??サメというものは海水浴客を襲う(ものだ), のように容認度が異なる。また,このタイプの総称文が人間に適用されると,社会的偏見や差別を引き起こす要因となる(「イスラム教徒はテロリストだ」等)。しかし,有標総称文と正しく使い分けることで,このような弊害を避けることができる。
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