研究課題/領域番号 |
20K00683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 藤女子大学 |
研究代表者 |
對馬 康博 藤女子大学, 文学部, 准教授 (50583093)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | we, you, they一般人称主語構文 / 参与者経験構文 / セッティング主語構文 / it非人称構文 / (間)主観性 / 換喩 / フレーム知識 / 主述のフレームの協働:構文フレーム / 参与者主語構文 / 無生物主語構文 / 構文ネットワーク / 主述のフレームの協働 / 属性構文 / 道具主語構文 / there構文 / 概念基盤 / 間主観性 / 構文の連続性 / フレーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、主述のフレームの協働に着目した構文の拡張現象とそれに関わる概念基盤を解明することを目標とする。具体的には、主語と述語のフレームがどのような概念基盤に基づき協働し、どのようにして構文を作り上げ、さらにどのようにして構文同士が連続的にきめ細やかで豊かなネットワークを成しているのかということを解明する。手法として、認知文法やフレーム意味論の概念を用いるが、換喩や間主観性が鍵となる。現象として、典型的な参与者主語構文から(1)非典型的な属性構文を含む道具主語構文、(2)セッティング主語構文とit非人称構文、(3)we/you/they一般人称主語構文への拡張現象とその概念基盤を取り上げる。
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研究実績の概要 |
当該年度(令和4年度)は、当初の研究計画である「we, you, they一般人称主語構文」の拡張現象とそれに関わる概念基盤の解明を目指した。特に、この種の構文を「参与者経験構文(PEC)」と呼び、「セッティング主語構文(SSC)」と「it非人称構文(IIC)」と共に観察することで構文の拡張現象としての連続性を明らかにし、それを動機付ける概念基盤を解明した。PEC, SSC, IICの連続性を動機付ける概念基盤には、プロファイル部の移行だけではなく、人間の一般的認知能力の発現としてのダイナミックな認知プロセスが関与していることが明らかとなった。具体的には、(1)(間)主観性、(2)換喩、(3)フレーム知識、の3つがその認知要因として関与しており、以下の2点が重要な論点となった。 論点1:PEC, SSC, IICの生起と拡張には、事態把握に関わる経験者を特定する際に(間)主観性が関与している。特に、SSCとIICでは、セッティングやitの範囲設定にも関わる一般的経験者は、グランディング要素である話し手と聞き手の間主観的突き合わせの認知プロセスから決まる。 論点2:グランディング要素である話し手と聞き手の間主観的突き合わせから生じる範囲設定の問題は、各構文の主語名詞句に関わるフレーム知識の問題に還元することができる。また、それぞれの主語のフレームが動詞のフレームと協働することで、それぞれの構文や構文特性を生む(構文フレーム)。さらに、構文の生起・拡張に関して、協働するフレームの一部が換喩を通じて移行することによってフレームにズレが生じ、これがプロファイル部の移行を誘発し、構文間に緩やかな連続性をもたらす。 以上のことは、中間報告として、日本認知言語学会・第23回全国大会(オンライン開催)において口頭発表により公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究自体は、順調に進んでいる。 研究成果の中間報告として、上述の通り、本年度の研究課題の成果の一部は、国内学会全国大会の口頭発表により公表された。さらに、この発表は論文化し、令和5年度中に公刊される予定である(現在、印刷中)。 また、令和2年度に遂行された研究課題である英語の「属性構文を含む道具主語構文」の拡張現象とそれに関わる概念基盤の解明についての研究成果の中間報告は、遅れていたが、本年度、学術論文「〈道具〉主語の認知文法」という題目で国内学会の雑誌(査読付き)に投稿し、令和5年3月に公刊された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの研究自体は、おおむね順調に進行してきている。しかしながら、COVID-19の影響により、特に、令和2年度(初年度)-令和3年度(2年目)の研究成果の公開が全体的に遅れている側面がある。次年度は、まずこれらの公表が円滑に進むよう取り組む。 同時に、次年度の研究計画である「参与者主語から属性構文を含む道具主語構文、セッティング主語構文、it非人称構文、we, you, they一般人称主語構文」の拡張現象に関わる構文ネットワークの解明とその概念基盤の解明を目指し、さらに、最終的な理論的一般化及び総括を行うよう目指す。 また、本研究課題の成果の最終報告を行えるよう、学術雑誌等への投稿や国際学会・会議、国内学会全国大会、シンポジウム、研究会などの発表を通じて、広く公表を目指す。
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