研究課題/領域番号 |
20K00685
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
|
研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
小倉 美知子 東京女子大学, 現代教養学部, 研究員 (20128622)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | Medieval English / Old English / Middle English / Latin / Old Norse / Old French / borrowings / syntax / loan words / influences / Old Norman French / homilies / Norman French |
研究開始時の研究の概要 |
古英語と中世語の中間にあり資料の少ない過渡期と呼ばれる時代に、古ノルド語とノルマンフランス語がどのように、どれだけ、英語に影響を与えたのか、従来言われてきた語彙の面ではなく、形態、統語、意味、文体の面での影響を重視して、英語史の重要な転換期を調査する。古ノルド語からは非人称構文、ノルマンフレンチからは再帰構文の強化がなされたというのが、私論であるが、それを実例によって証明していくつもりである。形態的にかなり崩れていく古英語文献を読み解くのは難しい場合もあるが、英語史において最も難解で、最も興味ある文献と例文に遭遇できる時期でもある。英語史を専門とするものとして、研究しがいのある時代である。
|
研究成果の概要 |
本研究では古英語から中英語への過渡期における古ノルド語とノルマンフランス語の影響について綿密な調査を行った。語彙に関しては、古ノルド語は古英語後期から散発的に見られるものの、テクストの少ない北部方言で用いられたため、言語的類似性から主に基本語が残る結果となった。ノルマンフランス語は、すでにラテン語が古英語から影響していたため、多くの語が用いられたAncrene Riwle に比べ、Layamon では本来語に頼るなど、ジャンルによる借入の程度の違いが見られた。統語的には、非人称表現と再帰表現が両言語で用いられていたため、古英語の表現を助ける形で、語彙交代を伴いながら影響したと考えられる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、英語史を正確に書き、また理解するのに役立つと信じている。近年、やさしい英語史と称して表面的な事象だけを初心者向けに提示したり、著名な学者が用いた例を何度も検証せずに用いたりした研究書が見られるが、実際のテクストに戻って筆者自身の目で確かめる、philological な態度が必要である。例えばOrmulum は宗教詩であるがedition が刷新されるのを150年近く待っているし、Layamon's Brut は年代記とロマンスが混合した頭韻詩であるが、そこで借入語が避けられている理由は半世紀以上議論されている。このような時間をかけた研究こそが、中世の言語研究には必要である。
|