研究課題/領域番号 |
20K00720
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02090:日本語教育関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 勢紀子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 特定教授 (20205925)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 文語文 / 非日本語母語話者 / オンライン教材 / ブレンディド・ラーニング / アクティブ・ラーニング / 和歌 / 漢文訓読 / くずし字 / 文語文教育 / オンライン研修 / 非母語話者 / e-learning教材 |
研究開始時の研究の概要 |
日本語文語文の学習は日本研究に必要であるのみならず、現代日本語の習得にも有用である。文語文学習を望む非母語話者は増加しているが、その学習環境は整備されていない。海外では日本学の拠点大学で文語文関係のワークショップを開催しているが、日本では少数の大学で所属留学生を対象に授業を行っているにすぎない。本研究では、非母語話者の文語文学習を広範に、また効果的かつ持続的に支援するために、ブレンディド・ラーニングを組み込んだ文語文教育のシラバス・教授法を確立した上で、Web会議システムにより遠隔地からも参加可能な文語文研修を実施する体制を構築する。
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研究実績の概要 |
1. 2021年4月に公開した日本語文語文オンライン教材 “BUNGO-bun GO!”を文語文関連の授業で使用し、その効果的な利用方法を探究した。 2. “BUNGO-bun GO!”への文法解説のページ・動画の掲載を企画し、準備を開始した。 3. Zoomを利用したBUNGO-bun project研究会を2回開催した。2023年8月に「アクティブ・ラーニングによる文語文教育」というテーマで第7回研究会を開催した。「歌合せ」の形で受講者が短歌創作を行う三大学合同授業の事例報告、アクティブ・ラーニングを中心とした北米における文語文教育の現状についての報告があり、討論が行われた。日本国内14名、国外14名の参加があった。また、2024年2月に「和歌を用いた文語文教育」というテーマで第8回研究会を開催した。西安交通大学における現代短歌を用いた授業の事例報告、おみくじや歌占いを用いた文語文教育の可能性についての報告があり、討論が行われた。日本国内24名、国外7名の参加があった。第7回研究会についての報告が大学の紀要に掲載され、第8回研究会についての報告は日本語教育関係の学術雑誌への掲載が決まっている。 4. 研究者間のネットワーク形成を目指して、メーリングリスト“bungonet”登録者対象のオンライントークフォーラムを2回開催した。2023年6月に開催した第5回トークフォーラムでは、古民家における古文書解読と生活文化体験プログラムの企画についての話題提供と意見交換が行われた。2023年12月に開催した第6回トークフォーラムでは、ヴェネツィア大学における古文と漢文の夏期集中講座についての話題提供と意見交換が行われた。 5. メーリングリスト“bungonet”を運営し、文語文教育や古典研究に関する情報共有、研究交流の場を提供した。2023年度末の登録者数は125名となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の主な研究計画として、当初、1)開発・公開した文語文オンライン教材の改善・拡充および利用法の検討、2)Zoomを利用した文語文教育関連の研究会の開催、3)文語文ワークショップ参加とそれにもとづく研修の実施、研修システムの構築を予定していた。 このうち1)については、非日本語母語話者を対象とする文語文関連授業での開発教材の使用を通じてその利用法について検討したこと、朗読音声およびPDF版クイズを掲載して教材を改善したこと、文法解説のためのページや動画の作成を準備していることで、計画通りに遂行することができている。また、2)についても、これまで8回の研究会、6回のトークフォーラムをオンラインで開催し、順調に遂行できている。 一方、3)については、ヴェネツィア大学で開催予定となっていたワークショップへの参加を計画していたが、新型コロナ感染症の拡大により2020年・2021年は現地開催中止となり参加できず、2022年・2023年もごく小規模の開催となり、参加する意義が薄いことから参加をとりやめた。また、2022年4月以降研究代表者が大学の特定教授の職を得、研究に充当できる時間が減少したこともあって、当初最終年度に予定していた大規模な文語文研修(対面/オンライン)を企画・実施することができなかった。さらに、1回の文語文研修を開催するよりは、できる限り持続的に非母語話者の文語文学習をサポートするためのシステムを作ることが重要であると考えられた。 そこで、3)の研究計画については見直しを行い、研究会やトークフォーラムの継続開催、研究ネットワークの強化、自習を促進する方向でのオンライン教材の拡充により、学習者の持続的な支援を可能にする体制を構築するために、2022年度に引き続き本研究課題の期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
1.これまでと同様に、年度に2回ずつのペースでBUNGO-bun project研究会とトークフォーラム「かだらいん」を開催し、その報告を大学の紀要や関連学会の学術誌で公表する。今後取り上げるテーマとしては、和書を用いた文語文教育、現代の日本語に残る古語、文法解説動画の作成などを考えている。研究会については、その実施報告を大学の紀要等で公開する。 2.オンライン教材“BUNGO-bun GO!“の拡充を行う。文語文教育の授業やその担当教員が不足している現状をふまえ、学習者がさらに自習しやすい教材とするため、文語文関連授業の受講者や文語文教育に携わる研究者の意見を取り入れつつ、文法を解説するページ、文法学習のポイントをわかりやすく示す動画、練習用のドリルを作成し、掲載する。教材開発についての報告を関連学会の学術雑誌等に公表する。 3.メーリングリスト “bungonet” の運用を通じて、文語文教育に関する情報共有や登録者相互の情報交換の場を継続的に提供し、文語文教育に関する研究ネットワークを強固なものとしていく。 4.愛媛県宇和島市毛利家所蔵の古文書を利用した日本語学習者を対象とする文語文研修プログラムの企画に引き続き関わり、プログラムの実現を支援する。
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