研究課題/領域番号 |
20K00762
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
谷村 緑 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (00434647)
|
研究分担者 |
吉田 悦子 三重大学, 人文学部, 教授 (00240276)
山口 征孝 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20779300)
仲本 康一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80528935)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 共通語としての英語 (ELF) / 多人数対話 / 合意形成 / パラ言語情報 / 物語生成 / 創造性 / 基盤化 / メタファー / ELF / 共同 / 創造 / 課題 / 話し合い / 共通語としての英語 / 目的指向型会話コーパス / マルチモーダル / 談話分析 / 目的志向型会話コーパス / リンガフランカ / 英語学習者 / 相互行為 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,母語の異なる英語学習者による,多人数の目的指向型会話コーパスを構築し,言語・非言語情報の分析を通してどのような外国語運用が合意形成に寄与するかを解明することである。 本研究では,①実験環境下での収録方法によって会話コーパスを構築し,②母語や習熟度の異なる英語学習者が合意形成過程でどのように課題を成し遂げるのかを,言語・非言語にあらわれる社会的・認知的捉え方の違いから分析する。さらに,③「共通語としての英語」における相互行為のプロセスを明らかにすることで,英語学習者にとって望ましい相互行為の在り方を検討する。
|
研究実績の概要 |
相互行為プロセスは参与者の言語による「やりとり」のみではとらえることができない。そのため本プロジェクトでは、時間軸上でパラ言語情報(発話の重なり、ポーズ、笑い、時間情報など)や共同作業域(LEGOブロックの配置、ジェスチャーなど)が観察できるように、LEGOブロック課題を参与者らに課している。また、各参与者の発話音声を分離するため、収録時には個別のマイクを使用し、ビデオ録画を行っている。このようにして構築した課題達成対話コーパスは、短時間での合意形成が求められるビジネスや医療現場において、人々が共通語としての英語(ELF)を利用して、どのように相互理解に達成するかを知るための資源となりうる。 相互行為研究を進める上では、書き起こし(トランスクリプト)は必要不可欠である。しかし、その転記作業は簡単ではなく、複数の転記者間あるいは単独転記者内でも揺れが生じやすい。この問題点を踏まえて、本年はELAN(注釈をつけるソフト)による、パラ言語情報分析のためのトランスクリプト作成について議論した。その研究成果は、電子情報通信学会の思考と言語研究会で報告し、論文が電子情報通信学会の論文誌(信学技報)に掲載された。 また、LEGOブロック課題の参与者は物語を生成する際に利用可能なリソースに言及することで、相互理解を深めることが明らかになった。例えば、knowledge(知識)という課題では、あるグループは学校のフレームを立ち上げ、本、生徒、机、椅子などをブロックで表象するといった方法を取っていた。別のグループでは、knowledgeを人生と捉え、出生から死亡までを「橋」に見立てて、人生の道のりを表現するというメタファーを使用していた。このような認知言語学的視点に基づく物語の生成に関しては、メタファーを利用した英語生成としてまとめ、株式会社開拓社から書籍として出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の達成度をデータ構築、研究の進捗、成果の公表の観点から評価する。 (1)音声・ビデオ課題達成対話データの文字お越しは、会話分析用の「ケバ付き」(いいよどみ等)を含めた形で終了している。これは聞こえたままに文字を起こしたもの、つまり実際の発話を反映したもので、研究の基盤となるデータは整っている。 (2)文字情報だけではコミュニケーションの全体像をとらえることはできず、非言語情報の分析が欠かせない。そのため言語情報および非言語情報の両面からの研究を進めている。言語情報においては、認知言語学の概念であるフレームやメタファーの枠組みで、知的リソースを用いた参与者の相互理解や基盤化について検討した。また非言語情報に関しては、トランスクリプトの作成時に、複数の転記者間あるいは単独転記者内でも揺れが生じるという問題があるため、国立国語研究所言語資源開発センターから講師を招き、講習会を開催した。そして、分析のためのトランスクリプト作成にむけて議論した。 (3)本年度の成果物として、信学技報での掲載論文とメタファーを用いた英語生成に関する書籍を挙げることができる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、以下の4点である。 (1)当初の計画に則って研究を推進し、言語情報および非言語情報に関する研究を多角的に進めつつ、量的分析を基礎に事象の一般化を図る。 (2)本データの研究に必要な、分析のためのトランスクリプト作成に向けてその要件を探る。 (3)発話参与者間で共有されている知的リソースを整理し、それらが言語行為の達成にどう寄与するのかを検討する。 (4)成果の公表については4年間の研究成果を整理し、英語教育関連の学会で発表するとともに、学術誌への投稿をめざす。
|