研究課題/領域番号 |
20K00770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
臼山 利信 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50323225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | やさしい言語 / やさしい日本語 / 言語サービス / 多言語対応 / 地方自治体 / やさしいカザフ語 / やさしいロシア語 / やさしいフランス語 / やさしい中国語 / やさしい韓国語 / 多文化共生 / 言語政策 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の地方自治体で広がりを見せる「やさしい日本語」による表現方法や情報を英・露・中・韓・西・独・仏語他に援用・発展させる可能性を探り、特に災害などの緊急時や地域社会での日常生活等に役立つ、多様な「やさしい言語」の言語表現の形態を検討・考察し、地方自治体の言語サービス、自動音声通訳・翻訳技術の分野などにおいて社会実装するための方法や形態を研究することである。 「やさしい言語」研究の第一歩として、先行研究による従来の優れた「やさしい日本語」研究の成果と蓄積を活かし発展させながら、国内外における「やさしい言語」研究の必要性、可能性とその課題を明らかにする。
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研究実績の概要 |
4年目は、日本の自治体の言語サービスにおける傾向と課題を究明するための基礎研究を継続し、特に茨城県の全医療機関の多言語対応状況についての調査を行った。茨城県は15言語による検索医療情報提供サイトを、同県国際交流協会は21言語によるメディカルハンドブックを提供している。一方、同県内の各医療機関のウェブサイトの多言語対応状況について独自に調査を行った結果、病院が約3.5%、診療所-約3%、歯科医院-約1.5%、助産所-約7.6%が英語あるいはそれ以外の言語で情報を提供していることが判明した。こうした状況等を分析し、県の医療情報サイトから情報活用の実用性の観点から外国語での診療対応が可能な医療機関を入手した後、その医療機関のホームページを使って外国人が実際に利用するに至る情報経路が十分に整備されていないという新たな課題が浮き彫りになった。 また、人間の安全保障と基本的人権の尊重に通底する「安全に生きる」という視点を「やさしい言語」構築の基本理念に据えることが重要であるとの考えに至った。事例研究として、ロシア語圏諸国で生活する外国人の使用を念頭に置いた「やさしいロシア語」の構築に向けた準備作業を開始した。言語の個性によって言語形式と言語表現の点でやさしくできることに制限があることから、ロシア語について、言語的に何をやさしくするのかについて検討した。その結果、副詞と名詞の語彙を限定する、代名詞を多用することが実用効果を挙げる可能性があるという仮説を得た。 さらに、「やさしい言語」創出に向けた社会実装の一つとして『実践カザフ語入門[第2版 増補版]』を刊行し、「付録」に最小限の語彙と表現を用いて実生活の様々な場面ですぐに使えるやり取りや、カザフスタンの実生活に役立つピクトグラムを掲載する試みを行った。これは、安全に生きるための「やさしい言語」という理念を反映させたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
社会実装につながる「やさしい言語」構築の事例の一つとして「やさしいカザフ語」の理念と実用を意識した教材を刊行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究補助員等を有効に活用し、引き続きオンライン等で収集・整理した情報資料の分析・考察に力を入れる。また、研究を補佐する要員を積極的に活用したり、研究協力者のサポートを得ながら、調査対象の自治体の訪問や聞き取りインタビューなどのフィールドワークを本格的に進めるとともに、成果の公表を積極的に進める。
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