研究課題
基盤研究(C)
言語景観研究はこれまで、主に地理学、社会学、社会言語学などの分野において進められてきたが、多言語化する現代社会においては、外国語教育の分野における言語景観研究の成果の活用も喫緊の課題である。インバウンド観光客や在留外国人を想定したと思われる掲示やアナウンスには、綴りの間違い、明らかな文法の間違い、慣用から外れた用法など、英語として間違った例もしばしば見られる。本研究では、日本の言語景観における英語使用についての現状を把握し、言語景観調査のプロセスおよびデータ分析の結果を英語教育に生かすことを目的とする。
2022年度前半は、所属大学の在外研究制度で新竹(台湾)の国立清華大学に滞在する予定であったが、COVID-19の影響により、訪問学者としてのビザの交付に時間がかかったため、検疫期間も含めて約3か月間の滞在となった。コンピュータサイエンス学部のProfessor Jason Changの研究室で、これまでに収集した言語景観のデータを教材として活用する方法を検討すると同時に、誤りの事例を含めた言語コーパスを作成し、英文作成支援ツールの共同開発を新たにスタートさせることとなった。台湾滞在中には、台北・高雄・台南などの主要都市で言語景観のデータを収集したが、中国語と英語および/または日本語の併記の例では、必ずしも英語または日本語が正しいとは限らないため、(研究代表者が未習得である)中国語から意味を推測するほうが正しく理解できる場合があるという新しい発見もあった。これまでの調査や他大学の研究者との共同研究の成果を含め、本研究課題に関連する研究については、7件の口頭発表(うち3件は国際学会の現地での発表)を行い、年度内に7件の学術論文が発行された。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題の研究期間中に在外研究の機会に恵まれたことで、当初の計画を一部変更することになった一方で、予想していた以上の成果も上げられていると考えている。在外研究期間における国内待機中(4月~5月)は、無理のない範囲で国内の観光地の言語景観調査を行った。6月にはオーストラリアを訪問し、学会発表および調査のためブリスベンとシドニーに約3週間滞在した。台湾滞在中(7月~9月)については上述した通りである。10月以降は、COVID-19の影響が少なくなってきたことから、国内の言語景観調査を行いつつ、海外における発表や研究交流のための出張もほぼ問題なくできるようになった。
2023年度は、引き続き国内外でのデータ収集を行い、特にCOVID-19前後における言語景観の変化について調査する。また、台湾と日本での英語使用における誤りの比較など、各国のデータを詳しく分析する。研究代表者の授業では、これまでに収集したデータをすでに活用しているが、より汎用性のある英語学習用教材の作成を目指す。
すべて 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 5件)
電子情報通信学会『信学技報』
巻: vol. 122, no. 419 ページ: 65-70
Affective and Pleasurable Design
巻: Vol. 41 ページ: 1-7
巻: vol. 122, no. 103 ページ: 46-51
巻: vol. 122, no. 103 ページ: 52-57
日本認知科学会第39回大会発表論文集
巻: - ページ: 128-131
巻: - ページ: 142-144
巻: vol. 122, no. 304 ページ: 10-15
信学技報
巻: vol. 121, no. 440 ページ: 25-30
巻: vol. 121, no. 440 ページ: 50-55
巻: vol. 121, no. 440 ページ: 56-61
言語学習と教育言語学
巻: 2021年度版 ページ: 77-82
巻: vol. 121, no. 87 ページ: 30-33
巻: vol. 121, no. 87 ページ: 38-43
日本認知科学会第38回大会発表論文集
巻: - ページ: 788-794
巻: - ページ: 799-801
巻: vol. 120, no. 427 ページ: 24-27
巻: vol. 120, no. 427 ページ: 32-37
Proceedings of 12th International Conference on Education and New Learning Technologies (Edulearn2020)
巻: 1 ページ: 1724-1728