研究課題/領域番号 |
20K00875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
植木 美千子 関西大学, 外国語学部, 准教授 (30737284)
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研究分担者 |
竹内 理 関西大学, 外国語学部, 教授 (40206941)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 外国語不安 / FLCAS / 質問紙 / 動的等価 / 外国語不安イメージ / 文化別 / 文化的背景 / 学習者情意 / 第二言語不安 / 言葉のイメージ / 文化圏 / 再定義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、第二言語 (L2) 不安の概念を文化圏別に調べることを通して、「不安に対する概念理解の齟齬が、質問紙等の測定用具の妥当性に影響を与え、その結果、様々なL2 不安研究の知見の食い違いを生み出している」という仮説を検証することにある。本研究の成果は、L2不安の概念再構築と再定義、および新たな質問紙の開発と再現研究の促進につながる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、第二言語(L2)不安の概念を文化圏別に調査し、不安に対する概念理解の齟齬が質問紙などの測定用具の妥当性に影響を与え、様々なL2不安研究の知見の食い違いを生み出すという仮説を検証することである。今年度、本研究で改良された不安の質問紙(FLCAS)を使用し、過去の日本人英語学習者を対象に外国語教育不安(FLCAS)を用いた先行研究と同じ条件でYashima, T., Zenuk-Nishide, L., & Shimizu, K. (2004)のリプリケーション研究を行った。 その結果、先行研究と同様に、学習者の第二言語(英語)に対する不安が意欲(willingness to communicate)に影響を与えることが示された。つまり、不安が高い学習者は英語でコミュニケーションを行う意欲が低くなる傾向があった。しかし、因子分析の結果、先行研究と同じカテゴリーにならない項目もいくつかあり、それらの項目を質問紙に含める妥当性を検討するため実施後対面・オンラインインタビューを行った。インタビューでは、回答者から不安を感じるがすぐ消える(解消される)不安項目と授業時間中ずっと同じ気持ちである不安項目があるため、答えに戸惑う部分があるという意見が寄せられた。今後の課題として、不安のような感情要因を質問紙で測定する際、ダイナミックな変動をどのように質問紙の文言で調整するかが課題であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
最終年度は、過去の日本人英語学習者を対象に外国語教育不安(FLCAS)を用いて行われた研究と同じ条件で、本研究で開発された不安質問紙を用いて既存研究の一般化や頑強性を検討を予定していた。まず、先行研究から 1. Kondo, D. S., & Ying-Ling, Y. (2004). Strategies for Coping with Language Anxiety: The Case of Students of English in Japan. 2. Matsuda, S., & Gobel, P. (2004). Anxiety and Predictors of Performance in the Foreign Language Classroom. 3. Yashima, T., Zenuk-Nishide, L., & Shimizu, K. (2004). The influence of attitudes and affect on willingness to communicate and second language communication. の3編選択し、過去の研究と類似の条件(学習者層や学習コンテクスト)を整えた上で、本研究で作成された質問紙を用いて、同様の結果が得られるかどうかを再現調査を試みた。3.のYashima et al. (2004)の再現調査は実行できたが、その他の研究も被験者が200名を超えており、再現調査に向けて、アルバイトの手配や感染対策を講じつつも被験者が収容できる広い空間の確保、そして感染対策などを行うにあたり、準備においても実施においても当初想定していたよりも倍以上の時間がかかってしまった。またインタビュー調査においてもたびたび協力者やインタビュー実施者の発熱などで中止となった。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究のリプリケーションを行う際、サンプルを先行研究と同数用意することを第一目標とするが、予定の期間までに協力者の数が先行研究と同等数を見込めない場合は、サンプルサイズが小さいことが研究結果にどのような影響を与えるかを慎重に検討したのち、先行研究とサンプルサイズが異なる場合、統計的手法を用いて解決を図る。その手法としてはブトストラップ法もしくはベイズ統計を考えている。 1)ブートストラップ法: ブートストラップ法は、元のサンプルから繰り返しサンプルを抽出し、それらに基づいて統計量の信頼区間や標準誤差を推定する方法であり、これにより、サンプルサイズが小さい場合でも結果の信頼性を評価が可能 2)ベイズ統計: ベイズ統計は、サンプルサイズが小さい場合やデータが不完全な場合でも、事前分布(prior distribution)を用いて結果を推定する方法。ベイズ統計を用いることで、結果の不確実性を考慮した上で、先行研究との比較が可能
これらの方法を用いて、本研究で作成した改良版質問紙と先行研究の結果を比較・検討する。
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