研究課題/領域番号 |
20K00922
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
大川 裕子 上智大学, 文学部, 准教授 (70609073)
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研究分担者 |
井黒 忍 大谷大学, 文学部, 准教授 (20387971)
大澤 正昭 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30113187)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 農書 / 農業史 / 環境史 / 明清農書 / 中国農書 / 『浦ボウ農咨』 / 『馬首農言』 / 飢饉 / 華北 / 環境 / 黄土地帯 / 清代 / 浦ボウ農咨 / 馬首農言 / 長江下流低湿地 / 稲作 / 華北乾地農法 / 現地調査 / 水利 / 生産技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は中国の伝統農業の実態を、農書が書かれた地域の地勢・水資源・土壌などの環境や農業技術の調査を通じて、あらたに読み解くことを目的とする。このような作業を本研究では「実見農業史」研究と呼ぶことにする。具体的には明末~清(16C~19C)時代に長江下流稲作技術を述べた『補農書』や『浦卯農咨』、華北黄土高原の農業について述べた『馬首農言』などを手がかりに考察を進める。明清期の農書は、農地の実態が詳述されており、伝統的な生産技術を復元することが可能な第一級の農業史料だからである。これらの作業を通じて、伝統農業の実態を把握し、農業技術の継承と変容の過程を解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、耕地の立地を県レベル、村レベルで特定することが可能な明清時代の農書を取り上げ、できる限り実態に即して理解するこで、農業技術の継承と変容の過程、自然環境との関わり、「農書」として括られてきた書物の性格について分析した。とくに清代に記された三冊の農書を取り上げ、研究会での農書講読と検討を重ね、日本での雑穀栽培調査から得た知見を活用しつつ詳細な注釈を付した日本語訳を作成した。精読を通じて、農書には生産技術以外に、占い・調理・水利・備荒など多様な情報が盛り込まれていることを再確認した。最終年度には国際シンポジウムを開催し日本・中国・韓国の農書専門家を集めて学術交流を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
農書には生産技術以外の多様な情報が盛り込まれていることを再確認し、農書が農業史研究以外の分野研究に活用できる可能性を指摘した。現在、中国農業史研究に携わる研究者は少ない。その理由の一つに「農書」の扱いにくさがある。本研究では、農書の内容を分析し詳細な注釈を付した日本語訳を複数発表した。これにより中国研究者以外の人々が中国の前近代「農書」の内容に触れることが可能となった。 最終年度に開催した国際シンポジウムでは日本・中国・韓国の農書専門家を集めて学術交流を行い、農書のあり方を確認するとともに、今後の研究課題について意見交換を行った。以上の活動は今後の東アジア農業史研究にとって重要な意味をもつ。
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