研究課題/領域番号 |
20K00925
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
朱 鳳 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 教授 (00388068)
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研究分担者 |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
奥村 佳代子 関西大学, 外国語学部, 教授 (10368194)
伊伏 啓子 福岡大学, 人文学部, 講師 (40759841)
千葉 謙悟 中央大学, 経済学部, 教授 (70386564)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 漢字翻訳語 / 宣教師 / 明治初期 / 東西文化交流 / 日中近代語彙 / 経済書 / 経済用語 / 致富新書 / 漢訳経済書 / 漢訳語 / 文化交流 / 翻訳者 / 言語的構造 / 歴史的構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治初期の西書の入手ルート(原書或いは漢訳西書)、翻訳方法(和訳、漢訳西書に訓点付け、全訳、抄訳、)、翻訳者の異なる文化背景(洋学者、蘭通詞、唐通事)などの多角的視点による3つのアプローチを通して、明治初期の翻訳語の歴史的と言語的構造を解析する。 第一に、明治初期の翻訳方法が確定していない環境のなか、一語多訳と一書多訳が多く存在しているが、これらの間に存在する共通点、相違点を解明する。 第二に、唐通事による漢字翻訳語の特徴を明らかにし、文化交流史の視点から、唐通事の翻訳語と日本人の翻訳語を比較研究する。 第三に、明治初期における漢字翻訳語の歴史的と言語的構造を見いだす。
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研究実績の概要 |
本研究は翻訳西書に使われた漢字翻訳語に焦点を当て、文法学における漢字の語構成、音声学における音訓読み、さらに漢字翻訳語の生成と中国語の関係性を分析し、漢字翻訳語を多角的に考察し、明治初期の翻訳構造を明らかにすることを目的とする。23年度の研究業績は次のようにまとめる。 1.研究代表者は研究計画通り、経済に関する翻訳書を中心に研究発表を行った。第15回東アジア文化交渉学会において、「『世渡りの杖―一名経済便蒙』の翻訳考」を発表し、翻訳背景、漢字語彙の特徴及び影響について考察した。 2.研究代表者は明治初期における洋食関連の翻訳書も研究視野に置き、「洋食文化の受容と漢字翻訳語の役割」という論文も発表した。この論文は日本最初の洋食翻訳書『西洋料理通』(1872)、『月刊食道樂;』(1905)を資料に、漢字翻訳語という視点から、日本語の中の洋食用語の創出過程を検討し、東西文化の融合における漢字の役割を考察したものである。 3.研究分担者も各自の専門を生かし、宣教師或いは日本人、中国人が翻訳した漢字翻訳語を中心に相応しい研究を行われた。「インドで漢訳された聖書 マーシュマン、ラサール訳『聖経』」(『愛知大学図書館『愛知大学図書館報 韋編』50号)、「十九世紀中文賛美詩-以官話賛美詩為中心ー」(第十一届意日中研究生語言文化交流研究論壇 Sapienza University of Rome)、「16世紀西洋人宣教師の中国語学習教材にみる中国人の口語文」(愛大大学国際コミュニケーション学会の『文明21』)などが挙げられる。 上記のように、23年度は当初の計画通りに、明治初期日本での西書翻訳活動における文化的な背景、さらに国境、人種を越えたつながりに関する研究を進めてきた。 研究成果を国際学会、国際研究誌での発表と投稿により、研究成果をグローバル的に発信できたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 上記のように、2023年度は当初の計画通りに、明治初期に日本で翻訳された経済書及びその周辺の漢字翻訳語である聖書語彙、洋食語彙について研究を進めてきた。さらに、 研究成果を国際学会、国際研究誌での発表と投稿により、研究成果をグローバル的に発信できたと考える。 2023年度において、研究代表者と分担者を合わせて論文6編学術研究誌に掲載し、国際学会で6件の成果発表を行った。その意味においてはおおむね順調に進行していると言える。 2023年度はコロナ禍が収束したおかげで、海外への資料調査と国際シンポジウムへの参加も再開できた。2023年度の9月にイタリアのローマに出かけ、ローマ大学での発表、さらに、バチカン図書館、バチカンのウルバナ大学にある「漢学研究所」などでの資料調査、学術交流ができた。さらに、2023年度3月にフランス国立図書館での資料調査も実施した。これらの資料調査と交流成果に関して、2024年度で学会発表、学術誌での論文発表で公開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は本研究の最終年度である。今後の研究推進方策について次の3点で挙げられる。 1.すでに翻字した『世渡りの杖』巻一、二を整理、校正し、『世渡りの杖』にある経済翻訳語をリストアップし、その言語的な役割を解明する 2.唐通事の西書翻訳と中国文化背景との関連性を明らかにする 3.2025年3月に、『「世渡りの杖」巻一、二の翻字と解題』(仮題)を刊行する
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