研究課題/領域番号 |
20K00927
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
桑野 栄治 久留米大学, 文学部, 教授 (80243864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 朝鮮後期 / 朝清関係 / 粛宗 / 康熙帝 / 望闕礼 / 大報壇祭祀 / 明清交替 / 対明義理論 / 習儀 / 王世子 / 『大明会典』 / 『燕行日録』 / ガルダン征討 / 王妃 / 冊封儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
14世紀後半の元明交替期に高麗が受容した対明遥拝儀礼(望闕礼という)は、太祖李成桂による朝鮮建国後も実施されて基本法典に明文化された。ところが17世紀に明清交替を迎えると、漢城を訪問した清朝の使節とともに文武官僚が大清皇帝のために名節を祝う宮中儀礼へと変容を見せはじめる。18世紀に入ると朝鮮国王が滅び去った明朝の洪武帝・万暦帝・崇禎帝を祀る大報壇祭祀が整備されることを念頭に置けば、17世紀は朝鮮宮中儀礼研究の空白期間といわざるをえない。 17世紀の明清交替後に変容した望闕礼の運用を解明することにより、当該期における朝鮮の対清観がより一層鮮明となり、朝清関係の実像に迫ることが可能となろう。
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研究実績の概要 |
本研究は、17世紀における正月元旦・冬至・聖節の望闕礼(明清交替以前は対明遥拝儀礼)、ならびに王室庭園にて明の神宗萬暦帝を祀る大報壇祭祀の実施状況を整理・分析することにより、朝鮮粛宗代(1674~1720年)の対清観を宮中儀礼の側面から検証したものである。具体的には基本史料である『朝鮮王朝実録』『承政院日記』のほか、『議政府謄録』『備辺司謄録』『勅使謄録』『同文彙考』など各官庁の謄録類を中心に、望闕礼と大報壇祭祀の期日決定、習儀(リハーサル)、実際の挙行の有無に関する記録を収集し、基礎的データを構築した。粛宗の対明/対清観については『列聖御製』所収の詩文も活用した。 科研費最終年度の令和5年度は研究成果を総括すべく、前年度の「第1章 清使の入京と望闕礼」「第2章 望闕礼の習儀」につづき、「第3章 不法越境問題とその波紋」では清使迎接儀礼を拒否した儒者官僚による「復讐」の論理、ならびに鳥銃3,000挺の献上という対清「軍事協力」、「第4章 大報壇祭祀と望闕礼」では本来の対明遥拝儀礼に着想を得て毎年3月上旬に挙行された大報壇祭祀、粛宗が燕行使に指示した大明皇帝御筆の収集、最後に「第5章 王世子の代理聴政と清使迎接儀礼」では王世子(のちの景宗。在位1720~24年)の清使接待儀礼をめぐる葛藤、粛宗による国璽「朝鮮国王之印」の模刻とその継承など、当該期における朝清関係を多面的に考察し、本学の紀要論文集に掲載した(桑野栄治「朝鮮粛宗代の宮中儀礼にみる朝清関係(下)」『久留米大学文学部紀要(国際文化学科編)』第40号、2024年3月、pp.1~65)。 すでに検討済みのとおり、鳥銃3,000挺の献上後に聖祖康熙帝が歳幣を減免したことに加え、ガルダン征討と時を同じくして王世子冊封が承認された(『紀要』第38号、2022年3月)ことから、ジュンガルの動向は朝清関係の変数であったと考えられる。
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