研究課題/領域番号 |
20K00930
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
猪熊 兼樹 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (30416557)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 物質文化 / 東アジア / 宮廷 / 工芸 / 礼制 / 有職 / 琉球 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、前近代の東アジア(日本・中国・韓国・ベトナム・琉球)の宮廷工芸(宮殿・調度・服飾)を対象とし、東アジアの実情に即した物質文化研究の体系を構築することを目的とする。本研究においては、東アジア文化圏を中国大陸・日本列島・朝鮮半島・越南地域・琉球諸島として設定する。東アジアの宮廷は、国家の公式空間である外廷と君主の私的空間である内廷という空間から構成されており、その外廷と内廷を形成する宮廷工芸に着目して、各宮廷の共通規格と相異特色を相対的に検証する。その研究方法としては、東アジアの宮廷工芸について実物資料・文献史料・生活習俗の観点から調査し、諸調査の総合に基づく検証を行う。
|
研究成果の概要 |
東アジア文化圏の中枢にあった中国の宮廷では儒教的秩序の維持に努め、その理念を礼制によって具現した。礼制は身分に応じた建築・器物・衣服などの形式や意匠の規格に言及するために物質文化と密接な関係をもつ。そして、礼制は東アジア各地の宮廷に広がり、時空を超えた普遍規範となって国家の公式空間である外廷を形成した。一方、君主の私的空間である内廷は各地・各民族の背景にある風土や生活習俗などが反映した工芸によって形成された。従って、外廷の宮廷工芸には東アジアの共通規格が現出し、内廷の宮廷工芸には各地・各民族の基層文化が現出するので、各宮廷を相対的に検証するうえでの好資料となることを確認した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
東アジアの宮廷工芸(宮殿・調度・服飾)の研究については、従来のような年代・様式・技法などに関心をおく美術史的見地ばかりでなく、宮廷の儀式・行事における身分・立場・状況などを表象する物質文化として理解する観点が重要であることを示した。東アジアの宮廷工芸には、礼制に基づく共通規格とともに、各宮廷の背景にある風土・社会・制度・習俗などを反映した相異特色も現出するので、相対的に検証するうえで好資料となるという観点を示した。本研究は、諸文化を相対的に論じる文化相対主義的歴史観に基づくため、その研究成果は、諸文化の相異特色について合理的に理解し、今日的課題である多文化共生に資する歴史研究となるであろう。
|