研究課題/領域番号 |
20K00937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60380135)
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研究分担者 |
羽田 真也 飯田市歴史研究所, 研究部, 研究員 (40757837)
後藤 雅知 立教大学, 文学部, 教授 (50302518)
森下 徹 山口大学, 教育学部, 教授 (90263748)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 近世 / 森林 / 資源 / 請負 / 生業 / 流通 / 山里 / 地域 / 古文書 / 村落 / 社会史 / 地域史 / 幕藩体制 / 支配 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、列島社会の4地域における近世山里の生業・流通・支配の歴史的展開を、社会的諸関係に即して段階的に解明する。4地域とは、A阿波・木頭地域、B上総・養老川流域、C信濃・天竜川中流域、D周防・山代地域である。①山里における所有と生業の実態、②森林資源をめぐる藩の支配関係、③山里-流域-都市を結ぶ森林資源の流通構造という3つの視角から、当該地域に山と関わりながら生きた人々の生活世界と歴史的展開を解明する。これによって各地域の共通点と差異を浮き彫りにし、個々の山里の歴史像を、列島社会の広がりの中で捉え返す。また、自然と人間との歴史的展開を、社会的諸関係を介して理解する新たな方法論を創造する。
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研究実績の概要 |
本研究では、列島社会の山里とその生業が多様な展開を持っていた点を重視し、近世において特徴をもった4地域を選定している。A焼畑耕作など多様な生業から「林業地帯」へと変貌した阿波・木頭地域(町田哲)、B巨大都市江戸への薪炭供給地であった房総・養老川流域(後藤雅知)、C列島各地への有数な材木供給地であった南信濃・天竜川中流域(羽田真也)、D藩の専売制の中で、西日本有数の紙生産地となった周防・山代地域(森下徹)である。 4年目にあたる本年度も、各地域の一次史料を調査・分析し、その特質を内在的に解明することに注力した。A地域の木頭村湯浅家文書の目録作成を進め、B地域では大多喜町永島家文書の未整理部分の目録作成調査および撮影調査を進めた。C地域では座光寺村庄屋古瀬今村家文書や大平紙屋文書などの現状記録・写真撮影を継続して行った。D地域では、対象を薪の伐採・販売や石炭の採掘にも拡大し、主に山口県文書館所蔵史料によりながら関連史料を収集した。研究の基礎となる重要な歴史資料の調査を推進できた意義は大きい。 また、研究会(オンライン)を若手・中堅研究者の参加を得ながら4回実施し、各地域での調査研究の成果を共有した。成果内容としては、町田と後藤は、これまで研究を積み重ねてきた地域Aおよび地域Bの歴史動態を、生業・支配・流通から総合的に論じる論文を発表した。また個別に町田は地域Aの年貢徴収と山茶生産との関係について、また後藤は地域Bの入会山争論を素材に近世の裁判における文書主義の前提に「人証」が分厚く展開していたことを解明した。さらに、羽田は地域Cにおける物資輸送の動態とその地域社会構造の特徴を、都市社会との異同を含めて考察を進めた。森下(地域D)は石炭山の生産・流通構造とその変化について、さらに検討を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、列島社会の山里について4地域を設定し、それぞれの地域社会構造の研究をベースとして、その共通性と差異や、その要因となる環境・条件・変化を浮き彫りとすることを課題化している。そのため研究参加者全員が、相互に各地域の調査に加わり、各地域の特性を内在的に理解することを計画していた。 当該年度5月にCOVID-19は五類感染症へと移行したが、構成員の事情により研究の相互交流や、地域における共同活動が叶わず、不十分なものとなった。 また、調査を続けているA地域の主要な文書群・湯浅家文書のデータベース化も作業は進めたが、数量が膨大であり、報告書として刊行するまでには至らなかった。したがって1年間期間を延長した上で、刊行することを目指したい。
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今後の研究の推進方策 |
1年の期間延長期間中に、A地域・湯浅家文書のデータベース化を完成させ、文書所蔵者のご協力を得ながら、データベースの公開(報告書刊行)および文書群の返却を目指す。また地域C・地域Dについてもさらに文書群の検討を深めることで、山里社会の地域比較に活かしていく。
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