研究課題/領域番号 |
20K00943
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
白根 靖大 中央大学, 文学部, 教授 (80250653)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 台記 / 写本研究 / 保延二年記 / 写本系統 / 史料的性格 / 狩野文庫 / 図書寮文庫 / 尊経閣文庫 / 中世古記録 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、院政期の貴族藤原頼長の日記である『台記』を史料学的な視座から研究し、中世古記録研究の進展に寄与することを目指すものである。『台記』は頼長の自筆本が現存せず、史料としては写本に頼らざるを得ない。その写本は近世に作成されたものが大半で、字句や記述に異同があるにもかかわらず、写本そのものの史料学的研究はほとんどない。そこで、本研究では、現存する諸写本の継承性などを精査して類型化・系統化を行い、各写本の特徴や活用するうえで踏まえるべき史料的性格を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は『台記』の諸写本を比較検討し、各写本の継承性などを明らかにすることによって、『台記』写本の類型化と系統化を図るものである。四年目の今年度は、史料所蔵機関に出向いて写本の閲覧調査をするとともに、精査すべき史料を撮影・複写して収集し、体裁や書式および字句や記述等の異同を分析した。そのうえで、前年度まで調査・研究の対象とした諸写本を加え、特に「保延二年記」に着目して類型化および系統化を追究し、現存する「保延二年記」の写本系統や史料的性格を解明した。 閲覧調査は京都大学附属図書館と東京大学史料編纂所の所蔵史料を対象とした。前者においては滋野井本、後者においては勧修寺本(現在の原蔵者は京都大学総合博物館)を閲覧し、体裁や書式および字句や記述等の特徴を調査した。勧修寺本については「保延二年記」の撮影・複写を申請して画像による史料収集を行った。 これらを含め、四年間に調査・収集した『台記』諸写本を比較検討した結果、「保延二年記」は他の巻と異なる来歴を持つ巻であることが明らかになった。そこで、「保延二年記」に着目し、諸写本の類型化および系統化を追究した。その結果、現存する「保延二年記」は、伏見宮本を祖本とし、それを書写した賀茂清茂書写本から派生したものであり、派生した諸本にはいくつかの写本系統があることを解明した。その過程で、以前に見通した東北大学附属図書館狩野文庫所蔵本と宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵の広幡本・日野本および尊経閣文庫所蔵の烏丸本の関係性について修正を加えた。 また、現存する諸本は、書写者の判断により補訂を加えて文章を整えたもの、原状を尊重し誤字や誤記もそのまま忠実に転写したもの、さらにこれらを併せ持ったものに分類することができた。よって、現存する「保延二年記」を利用する際、各写本が持つこうした史料的性格を踏まえるべきであることを指摘できる。
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