研究課題/領域番号 |
20K00948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
石崎 建治 金沢学院大学, 文学部, 教授 (10257496)
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研究分担者 |
本多 俊彦 金沢学院大学, 文学部, 教授 (80410281)
戸根 比呂子 金沢学院大学, 文学部, 講師 (10846710)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 近江坂本 / 日吉大社 / 信仰体系 / 寛永通宝 / 加賀藩 / 比叡山延暦寺 / 中世都市 / 絵図史料 / 貨幣流通 / 中近世移行期 / 叡山文庫 / 貨幣鋳造 / 歴史的復元 |
研究開始時の研究の概要 |
中世の近江では坂本は大津と並ぶ流通拠点であり、比叡山延暦寺や日吉大社の門前町という宗教都市的性格も有していた。しかし近世初頭に政治・経済機能が大津側に集中化された結果、大津に比して坂本に関する研究蓄積は希薄である。また坂本には、資料数約3万点を数え内容的にも多岐にわたる史料群を擁する叡山文庫が存在するが、利活用が進んでいない現状がある。本研究では先ず叡山文庫所蔵の古文書・古記録の概要調査を進め、①近世史料からの遡及と現地調査に基づく中世坂本の復元的研究、②近世初頭を中心とした比叡山延暦寺・日吉大社の寺社組織史的研究及び対江戸幕府関係史的研究、③叡山文庫所蔵文書・古記録の料紙的研究を行う。
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研究実績の概要 |
令和5年度はコロナの影響もほとんどなく、研究についてはある程度進展した。まず計5回の研究会を開催し、分担研究者3名と協力研究者1名が1回以上、研究発表を行い、それぞれの分野からの研究成果を共有できた。個々の研究内容として、研究代表者の石崎は、8月及び3月に坂本地区の現地調査を行ったが、これはその間に行った叡山文庫で閲覧した文献資料と照らし合わせながら、坂本地域の信仰体系と現地の歴史テク空間の復元を試みたものである。その成果は「近江坂本における鎮守社と日吉大社の信仰体系(Ⅰ)-奥宮・上坂本地区を中心に-」として『金沢学院大学紀要』第22号に掲載された。なおこれは電子版として公開されているおり、オープンソースの状態となっている。この調査及び論文では、日吉大社信仰が八王子山に対する山岳信仰を源流とし、それが山城(背)にも見られる大山咋神信仰に発展した。その後、近江大津京遷都あるいは最澄による比叡山系の天台山化が契機となって、日吉大社に三輪山から大物主神(大国主神)が勧請され、日吉大社信仰は鎮護国家・国家護持、大津京あるいは平安京等の首都守護神的性格を帯びるようになった点、この時点で在来神との関係性が問題とされてくるが、国家からは三輪神を上位とする序列化が図られる一方、信仰体系内部では在来神・鎮守神(産土神)との融合が図られたと思われる点、信仰体系は大宮→二宮=奥宮→在地諸社の三層構造から成っている点などを明らかにした。分担研究者の本多は主に加賀藩での寛永通宝通の史料を析出し、いくつかの論点を提示した。同じく分担研究者の戸根は考古学関係の研究状況の報告を行い、また3月の現地調査にも参加し、考古学的観点からの助言を行った。研究協力者の関口は松本銭鋳造遺跡に関する知見を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やはり当初の2年間のコロナによる出遅れが影響している。とはいえ今年度は研究会を5回行い、可能な限り調査に出るように努め、少しずつ挽回を図った。しかし全般的にはまだ、1年から1年半程度の遅滞があると思われる。そのため、1年間の研究延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナにより出遅れを挽回すべく、研究期間を1年間延長することとした。一方で2023(令和5)年度までである程度の研究の進展や蓄積もみられたので、一年遅れではあるが、一旦現点までの研究成果の集大成と整理を行い、学会発表やホームページの構築により、得られた知見を研究者間および社会に向けて共有が計れるよう、手を尽くしていきたい。なお既に2024年度5月の社会経済史学会第93回全国大会で、石崎が成果の一部を研究発表する予定となっている。また地元近江坂本でも、市民向けの講演もしくはワークショップを開催する予定になっており、研究者間のみにとどまらず、広く地域住民や社会全般にも研究成果を還元していきたい。
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