研究課題/領域番号 |
20K00955
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳原 敏昭 東北大学, 文学研究科, 教授 (30230270)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 大島正隆 / 大学アーカイブズ / 史学史 / 東北地域史 / 史学史研究 / 東北中世史研究 / デジタル・データベース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大学アーカイブズ(東北大学史料館)所蔵の個人資料(「大島正隆文書」)の 活用を軸とする史学史研究である。具体的には、「大島正隆文書」のデジタル・データベー ス化をはかり、広く研究者が活用できるための条件を整える。また、「大島正隆文書」以外の関連資料の収集を行い、その調査・研究も行う。その上で、大島が研究活動を展開した 1930年代後半~40年代前半の東北地方を対象とする中世史研究(東北中世史研究)を史学史的に考察する。さらに、個人資料を用いた史学史研究の方法の錬磨をはかり、克服すべき課題についても考える。
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研究実績の概要 |
創立期の東北帝国大学法文学部国史研究室(現在の東北大学文学研究科日本史研究室の前身)について、論文「創設期の東北大学日本史研究室」を公表した(「図書」覧に掲載した『史学科の比較史』所収)。この論文で明らかにした新事実は数多いが、本研究課題との関係では、戦前期の社会経済史学会東北部会の活動に光を当てたことが大きいと考えている。 同部会は国史研究室に事務局を置き、戦前期の活動は1941年6月~44年9月の短期間であったにもかかわらず、機関誌『社会経済史学』で2回の東北史特集号が組まれるなど、非常に充実した活動を展開した。また、それが戦後の東北地方の学会の運営にも影響を与えたことが判明した。史料としては主として東北大学史料館所蔵「古田良一文書」に含まれる社会経済史学会東北部会資料を用いた。また、学生・副手の立場からの視点を盛り込むために、同館所蔵「大島正隆文書」に含まれる書簡類も用いた。大学アーカイブズを活用した成果といえる。 さらに、この事例を他大学(特に戦前に法文学部のあった九州帝国大学)と比較することで、創設期東北大学日本史研究室、ひいては当該期の東北地方における歴史学研究の特質も浮かび上がる結果となった。 このほか、東北大学史料館所蔵「大島正隆文書」に含まれる未紹介の大島ほか宛書簡約30通を翻刻し、詳細な解説を加えた原稿を作成した。とはいえ、「現在までの進捗状況」で述べるように、予定していた地点にまで研究を進展させることができず、1年間の延長を申請することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究期間として予定した2020~2023年度は研究科長(学部長)の任にあり、コロナ禍も影響し、進捗が遅れている。2020・21年度で東北大学史料館所蔵大島正隆文書の撮影を終えているが、その整理とデータベース化は完成途上にある。また、同館所蔵で、未紹介の大島正隆宛書簡約30通の翻刻及び解説の原稿を作成済みであるが、公表に至っていない。加えて、岩手県雫石町図書館、島根県隠岐諸島、徳島大学等への旅行を伴う調査によって資料収集を企図したが、職責上、感染対策上、実現できていない。目に見える成果としては、論文を2022年度に1本を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
延長申請を行い、2023年度も研究期間として認められた。23年度は、撮影ずみの東北大学史料館所蔵大島正隆文書のデータを整理し、画像セータベースを完成させる。これは、東北大学史料館のウェブサイトを通じて公開する予定である。未紹介の大島正隆宛書簡約30通も印刷発表する。出張を要するものでは、徳島大学の喜田貞吉関係資料(喜田は大島の師)の調査、大島が調査した隠岐の焼火神社の調査を実施する。以上の総まとめとして、論文集『東北中世史の開拓者大島正隆の歴史学と民俗学』(仮題)の執筆に着手し、出版社に入稿する(出版社はすでに決定している)。
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