研究課題/領域番号 |
20K00956
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前川 祐一郎 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (00292798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日本中世史 / 法史学 / データベース / 中世法制史料集 / 武家家法 / 史料学 / 戦国法 |
研究開始時の研究の概要 |
佐藤進一他編『中世法制史料集』全七巻は、日本中世史研究の基礎となる史料集の一つである。本研究は、データベース上で同史料集の増補版に相当するものを作ろうとする試みの、最初の三ヶ年計画にあたる。具体的には、東京大学史料編纂所の『中世法制史料集』全文データベースシステムに、同史料集第六巻の公家法・公家家法・寺社法の法制史料を付け加え、関連する史料を調査・研究してデータベースへの反映をはかるとともに、その成果を論文等でも発表しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、日本中世史研究の基本史料の一つ、佐藤進一他編『中世法制史料集』全7巻(岩波書店)のいわば増補版に相当するものを、東京大学史料編纂所のデータベースシステム上で作成し、日本中世の法制史料を高度研究資源化することを第一の目的としている。本史料のデータベース公開が実現すれば、文字列検索や関連史料との相互参照による同書の活用の便宜が格段に向上し、学界における今後の研究の進展に大きく寄与することが期待される。 2022年度は、過去2年間に行った『中世法制史料集』第6巻のフルテキスト入力データを、謝金雇用者の補助をえて校正し、史料編纂所のデータベースシステムに登録し公開する予定であったが、データベースシステム登録に必要な改修の問題、データ校正の未了の二つの理由から次年度に延期した。 本研究のもう一つの目的は、法制史料の高度研究資源化を通した、日本中世における法制史料のあり方の再検討である。本年度には、コロナ新型ウィルス感染症の影響から予定した史料調査を十分に実施できなかったが、薬師寺の史料調査において、近世・近代にまでわたる同寺史料について大きな知見を得た。 また前年度につづき、本研究計画と密接に関連する武家家法(戦国法)に関する研究を進めた。これは本来本研究計画の終了後に行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症により、予定していた公家法・公家家法・寺社法の史料調査が実施できない状況に鑑み、計画を一部変更し先行して進めたものである。本年度は、戦国大名伊達氏の分国法「塵芥集」に関する論文と、武家法を中心とする中近世の盗品法に関する論文の新稿2本を執筆した。合わせて、これら2本と既発表の武家家法(戦国法)・室町幕府法に関する論文をまとめた論文集『室町戦国法史論』の刊行準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、研究代表者の勤務先の業務繁忙により、本研究計画の遂行に十分な時間と労力を割けない状況が存在したことに加え、下記のような具体的な遅延が生じたため、補助事業期間延長を申請し、承認された。 本年度は、既入力の『中世法制史料集』第6巻のテキストデータを校正し、東京大学史料編纂所のデータベースシステム上で公開する予定であった。しかし、校正補助者の人員未確保から校正が未了となり、またデータベースシステム登録のために予定外の改修費用の問題も浮上したことから、公開に向けた計画を延期することとなった。 さらに、新型コロナウィルス感染症のため、公家法・公家家法・寺社法の関連史料の調査計画についても、薬師寺の史料の調査以外は、次年度に持ち越さざるをえなかった。 一方、下記の点については研究が進展したといえる。本研究計画と密接な関連を持つものの、本来は本研究課題の終了後に行う予定であった武家家法(戦国法)の研究を先行して行い、2本の新稿論文を執筆し、既発表の論文とともに論文集『室町戦国法史論』として刊行する準備をすすめ、さらに科学研究費補助金研究成果公開促進費(学術図書)に応募した(結果は採択。課題番号23HP5066)。 以上、補助事業期間の延長にいたった本研究計画の遅延、本研究計画に密接に関連する別対象の研究の進展を総合的に判断すれば、「やや遅れている」との自己点検評価が妥当と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長を承認され最終年度となる2023年度には、これまでの研究期間に入力した『中世法制史料集』第6巻のテキストデータの校正作業を、謝金による補助者の協力を得て完了し、東京大学史料編纂所のデータベースシステム上での公開を実現することが最大の目標となる。まず、前年度に浮上したデータベースシステム登録・公開の技術的問題を研究代表者勤務先の関係者と協力して解決し、その上で、前年度未了であったデータ校正作業を、可能な限り謝金をもって補助者に依頼して進め、目標を達成したい。 上記のデータベース公開に当初予定より多くの経費を要することが予想されるため、前年度まで十分行えなかった法制史料に関する史料調査の計画は、2023年度も縮小を余儀なくされる可能性が高い。その中で、近畿地方の史料所蔵機関を中心に可能な限り史料調査を行い、公家法・公家家法・寺社法の史料の性格の再検討の研究を進める予定である。 また2023年度には、本研究計画とかかわりの深い武家家法(戦国法)研究の成果を、論文集『室町戦国法史論』として、科学研究費補助金研究成果公開促進費(学術図書 課題番号23HP5066)の助成を得て刊行する予定である。これにより、法制史料のあり方の再検討という本研究計画のもう一つの研究目的を、別の検討対象とも合わせて推進する予定である。
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