研究課題/領域番号 |
20K00965
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
矢野 美沙子 法政大学, 沖縄文化研究所, 研究員 (40706636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 琉球史 / 辞令書 / 古琉球 / 近世琉球 |
研究開始時の研究の概要 |
琉球王国は、国の財政的・政治的基盤を対外関係に大きく依っていたため、先行研究もそうした視点に集中している。「辞令書」をはじめとした、前近代琉球王国における文書行政のあり方については検証されず、国を支えた政治システムそのものに関する研究も十分に進捗していない。本研究では、首里王府発給の辞令書を通史的に分析し、古琉球期に辞令書が担っていた行政文書としての役割が、近世琉球期にどのように引き継がれていったのか、辞令書行政から評定所文書の成立に至るまで、琉球王国における文書行政の構造的な変遷について通史的に研究することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、辞令書及び古琉球期における金石文のデータベースを作成し、横断的な検索を可能とするシステムを整えた。また、沖縄で現地調査を実施し、現存する金石文類のデジタルデータ採取を実施した。 こうした基礎作業に基づき、辞令書の発行年代と記載内容に着目して再検討を行った。辞令書の記載内容ごとに〈官職の給付〉・〈祝女職の給付〉・〈土地の給付〉・〈租税への言及〉・〈土地の付け替え〉・〈加増〉の6項目に分類し、集計・検討を行った。 その結果、〈土地の付け替え〉・〈租税への言及〉に分類される辞令書が古琉球期にのみ存在していることが明らかになった。古琉球期(1609年以前)に発行された辞令書59点について言えば、〈官職の給付〉や〈土地の給付〉に関する辞令書が時期を問わず満遍なく発行されている一方で、〈租税への言及〉〈土地の付け替え〉の内容を含む辞令書は尚元治世期(1556~72年)から発行が始まり、尚永治世期(1573~88年)に多いことが確認できた。 こうした辞令書発給の背後には、土地支配に立脚した政治システムの構築を企図する首里王府の姿勢が看取できる。琉球を取り巻く海域アジア世界の国際秩序の変動を受けて、対外関係のみに依存せず、土地に基盤を置いた政治システムの構築が目指されたものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受け、本研究課題開始当初から、沖縄県における現地調査に大幅な遅れが発生していたため。2023年度に実施した出張調査により、これまでの遅れを取り戻せたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
採取したデジタルデータ、データベースに基づき、さらなる分析作業を実施する。 辞令書が発給された時代・場所について、周辺他分野の成果を取り込みながら、実証的な検討を行ってゆきたい。辞令書の発給対象となった役人の任地、及び地方支配の単位になったと考えられる村・間切について、在地の文書史料や考古学的発掘調査成果などを援用して、実態を描き出すことができないか、検討している。
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