研究課題/領域番号 |
20K00966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
吉岡 拓 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (50733309)
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研究分担者 |
宮間 純一 中央大学, 文学部, 教授 (10781867)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 御猟場 / 天皇 / 禁裏御料 / 江戸川筋御猟場 / 春日部 / 越ケ谷 / 千波湖御猟場 / 仙波湖 / 風致保存 / 身分集団 / 由緒 / 丹波国桑田郡山国郷 / 広河原 / 民衆 / 郷士 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、天皇・皇室の狩猟の場である御猟場が設置・継続・廃止された経緯とその歴史的位置について、政府、宮内省、地域社会の3つの動向から総合的に検討することで、日本近代における社会・民衆と天皇との関係性を考察することを主要な課題とするものである。 具体的な検討対象は、涌谷(宮城)、岩瀬(福島)、赤城(群馬)、仙波湖(茨城)、習志野原(千葉)、連光寺村(東京)、段戸(愛知)、長良川筋(岐阜)、神通川(富山)、愛宕郡(京都)である。また、明治38年(1905)に御猟場設置の動きがあった台湾についても分析を行う。
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研究実績の概要 |
基盤C関連の研究として、2023年度は、関東外の地域の御猟場関係史料の調査と、調査により得られた史料の検討を行った。調査を行ったのは、岡山(御猟場設置の計画が出るも立ち消え。調査先は岡山県立記録資料館)、福島(岩瀬御猟場。調査先は福島県歴史資料館)、岐阜(長良川筋御猟場。調査先は岐阜市立中央図書館・岐阜県図書館)の3か所である。このうち、福島・岐阜で複数の関係史料を確認することができた(福島については史料撮影も終了。岐阜は2024年度に実施)。また、これとは別に、宮城県涌谷町教育委員会より、涌谷御猟場関連の史料データの提供を受けた。 独立基盤形成支援関連の研究(禁裏御料に関する研究)として、2023年度は、旧丹波国桑田郡山国郷の「名主」(郷士を自称)、旧山城国宇治郡山科郷の「譜代御家人」(山科郷士)、旧山城国綴喜郡多賀村の下村家(郷士を自称するも、やがて主張しなくなる)についての調査・研究を行った(調査先は京都市右京区京北地域、京都市歴史資料館、京都府立京都学・歴彩館)。3つの事例の検討からあきらかになったのは、これらの人々(集団)が「郷士」身分を希求するようになるのは享保6年(1721)の帯刀人改め以降のことであり、また、彼らが「禁裏御料」の住民として天皇・朝廷との結びつきを強調するようになるのも、「郷士」身分を希求するのと同じタイミングだということである。つまり、彼らは17世紀中は「郷士」ではなく、禁裏御料住民であることを重要視していたわけでもなかったのであるが、ひとたび「郷士」であること/禁裏御料の住民であることを意識するようになると、やがてそれは彼らやその子孫にとって何よりもこだわるべき属性となる。このことが、幕末維新期に山国郷・山科郷の住民がそれぞれ農兵隊を結成する前提となることをあきらかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基盤C関連の研究については、前年度に史料収集・分析を行った江戸川筋御猟場に関する論文を1本発表した。加えて、涌谷御猟場・岩瀬御猟場・長良川筋御猟場に関する史料の把握と撮影・複写を行い、その分析を並行して行った。 独立基盤形成支援関連の研究については、各地の禁裏御料住民に関する史料を収集するとともに、学会の研究例会にて報告を行うなど、論文執筆についての目途を立てることができた。 以上の進捗状況から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
基盤C関連の研究については、現在までに一定の史料が収集できている涌谷御猟場と、史料の存在が確認できている長良川筋御猟場についての史料の検討を引き続き行い、論文を所属機関の紀要などに発表する。また、現状で調査に行けていない国(台湾)・地域(富山)での史料調査を並行して行う。 独立基盤形成支援関連の研究については、山国郷の「名主」の由緒の形成過程に関する研究、山国郷・山科郷の「郷士」に関する研究の2つをそれぞれ別の論文集に発表する。
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