研究課題/領域番号 |
20K00969
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
西本 昌弘 関西大学, 文学部, 教授 (00192691)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 古代難波津 / 渡辺津(天神橋付近)説 / 三津寺町説 / 古地理変遷図 / 難波屯倉 / 難波大郡 / 蝦蟇行宮 / 後期難波宮 / 渡辺津説 / 難波宮下層遺跡 / 高麗橋説 / 古地理図 / 歴史的変遷 / 中宮 / 河鹿ガエル / 難波市 / 難波津 / 古代難波 / 難波宮 / 西成郡津守村 / 大阪湾岸地域史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、古代・中世の難波に関する歴史史料を収集することに加えて、『万葉集』などの文学史料中の難波・大阪湾岸関係史料を吟味する作業を行いたい。また、考古学の発掘成果を検証することで、難波地域における都市的発展と大阪湾岸地域との関わり方を考察したい。さらに、歴史地理学の見地から、難波地域の古景観や大阪湾岸地域の様相を復原することを通して、この地域の開発・交通のあり方を考究したい。要するに、文献史学の古代史・中世史の他、国文学、考古学、歴史地理学などの研究手法を統合し、学際的な見地から研究成果を生み出すことにより、古代・中世の難波を中心とする大阪湾岸地域像に再検討を加えようとするものである。
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研究成果の概要 |
古代史学・中世史学・考古学・上代文学・歴史地理学など研究成果を吸収し、総合的な見地から古代・中世の難波および大阪湾岸地域の歴史的様相を再検討した結果、古代難波津は5~6世紀には渡辺津(天神橋付近)に所在していたが、7世紀中葉に三津寺町付近に移動したと結論づけた。これにより、古代難波地域史の軸線が定まったと考える。 また、6世紀に設置された難波屯倉は7世紀中葉に子代離宮に改造されるが、その所在地は上町台地上の高地ではなく、中津川沿岸の低地であったと論じた。上町台地上の高地にあったのは難波大郡であり、その周辺には百済館などの客館も存在したと思われる。さらに、蝦蟇行宮は高津に位置したと推定した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学際的な研究成果を総合することによって、難波津の所在地が定まったことにより、古代における難波と大阪湾岸地域の歴史的な変遷過程がより明確に理解できるようになった。5世紀に難波高津宮、7~8世紀に難波宮が造営される背景に、政権の外港であった難波津の移動が影響していることが考えられる。また、難波大郡、難波客館、難波屯倉(子代離宮)などの所在地について通説とは異なる見解を提示できたことは、今後の発掘調査の進展に繋がる可能性がある。古代難波地域は渡辺津(天神橋付近)だけではなく、複数の政治的拠点を有していたことが判明したことで、大阪における新たな文化遺産の発見・創出の動きが強まることが期待される。
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