研究課題/領域番号 |
20K00975
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
守友 隆 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (60610847)
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研究分担者 |
古川 祐貴 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (00784860)
藤本 健太郎 長崎外国語大学, 外国語学部, 准教授 (00911504)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 慶應義塾図書館所蔵「対馬宗家文書」 / 対馬藩江戸藩邸 / 「御沙汰書・風説書」 / 「川本家資料」 / 対馬藩と長州藩 / 大島正朝(友之允) / 朝鮮国躰情探索 / 対馬藩宗家 / 燕都流言録 / 清国騒乱(太平天国の乱) / 吉田松陰 / 佐賀藩鍋島家 / 蓮池藩鍋島家 / 婚姻・縁組 / 長州藩毛利家 / 海外情報 / 太平天国の乱 / 情報流通 / 松前口 / 徳川将軍朱印状 / 対馬宗家文書 / 木戸孝允 / 大島友之允 / 対長同盟 / 倭館館守日記 / 情報ネットワーク / 対馬藩 / 幕末維新期の政局 |
研究開始時の研究の概要 |
幕末維新期の日本における海外情報について、「対馬藩の出先機関である倭館のある朝鮮」、「『四つの口』の一つである対馬(対馬藩庁)」、「幕府・諸藩」の情報流通の実相を明らかにする。そして、その情報によって、対馬藩と幕府・諸藩(組織間)、それらの組織に属する藩士・幕臣ら(個人間)がどのようなネットワークを形成し、政策決定、思想形成がなされたかを分析する。その上で幕末維新期の政局に与えた影響も検討する。主な研究素材は、対馬藩宗家の藩政文書で、国内外の諸機関に所蔵される「対馬宗家文書」とする。加えて、対馬藩と同盟・婚姻関係にあった長州藩毛利家・佐賀藩鍋島家などの藩政文書や家臣の家文書も研究対象とする。
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研究実績の概要 |
今年度は、まず慶應義塾図書館所蔵「対馬宗家文書」のうち、表御書札方作成の「御沙汰書・風説書」を中心に二度にわたって調査を行い、同書を構成する44冊・3通の解読を行った。この文書は、対馬藩江戸藩邸にあったものが、対馬藩宗家の菩提寺である養玉院を経て同図書館に収蔵されたことから、江戸藩邸における記録と考えられている。江戸藩邸においてどのような情報収集が行われていたかを示すものであり、本課題の終了までにはその収集の特徴を明示したい。なお、長崎県対馬歴史研究センター所蔵「対馬宗家文書」にも記録類Ⅲ・風聞帳として分類されたものがあり、それらとの関連性についても明らかにしたい。 次に、対馬歴史研究センター寄託「川本家資料」の調査・整理を藤本健太郎氏が行い、守友は、そのうちの29冊の解読を行った。「川本家資料」の全容については藤本氏が発表予定である。川本達が『対馬遺事』を著す際、もともと対馬藩庁にあったと考えられる文書と、対馬藩士大島正朝(友之允)が記した日記を用いたことに着目した。そのなかでも文久2年(1862)から明治2年(1869)頃までのものを中心に解読、分析作業を進めた。その結果からいくつか注目すべき点がある。①対馬藩士と長州藩士の接触、②幕府から対馬藩への三万石手当、③朝廷・幕府から対馬藩への朝鮮国躰情探索の命令、などである。 対馬藩と長州藩との関係は、藩主家の縁組、対長同盟が結ばれたとされることがよく知られる。だが、本年度の分析の過程で、それだけに止まらず、尊王攘夷思想、東シナ海と日本海の間に位置する国境の要地対馬の防衛問題、丙寅洋擾などを契機とした外交戦略のなかで、対立する長州藩と幕府の双方から、対馬藩が幕末以前よりも重要視されるようになったことが明らかになった。一橋慶喜や板倉勝静からの対馬や朝鮮事情についての下問に大島正朝が答えていることはその証左であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で当初予定していた調査出張があまり実施できなかったが、ようやくその遅れを取り戻すことができた。ただ、調査出張で撮影した文書の解読、そしてそれをもとにした論考の作成が十分に進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度も必要に応じて調査出張を行うが、基本的には成果報告書として本研究課題で得られた知見を冊子にまとめることを最優先としたい。また、機会が得られれば、解読したものの翻刻紹介や、査読誌への投稿を行い、本研究課題のまとめとしたい。
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