研究課題/領域番号 |
20K00989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
齊藤 紘子 (山下紘子) 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (80736942)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 小藩 / 藩領社会 / 陣屋 / 陣屋元村 / 地域社会 / 都市大坂 / 家中 / 武家奉公人 / 畿内 / 定番 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、小藩などの陣屋と藩領地域との関係構造を具体的に明らかにする。特に畿内は、幕府領や小藩の領地などが複雑に入り組む地域であり、支配拠点であった陣屋や陣屋元村の実態解明は、村落社会と領主支配の関係を明らかにするうえでも重要である。和泉国に陣屋をおいた譜代伯太藩渡辺家を主な研究対象としつつ、周辺領主の陣屋や藩領とも比較検討することにより、小規模領主の所領が錯綜する畿内地域社会の特質を考察する。小藩の場合、藩政史料の利用には限界があるが、そうした制約を乗り越える方法として、藩領村々に残された村方文書に注目することで、陣屋だけでなく藩領地域社会の全体像も含めた解明を目指す。
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研究実績の概要 |
22年度は、これまで調査してきた伯太藩陣屋元村の青木家文書を用いて、陣屋元村の村落構造について具体的に分析を進めた。その際、陣屋元村における〈史料〉と〈集団〉に注目し、家中と村落共同体という2つの身分集団の存在を前提としつつ、陣屋元村が都市化するなかで、家臣団・村いずれかの〈集団〉に属した家や個人の多くが別の〈集団〉に属する家・個人とも相互に密接な社会関係を結んでいたことを指摘した。また、領内の村々から徴発されて陣屋に詰めた武家奉公人や、都市化した空間に暮らす借屋人、出稼ぎなどとして流入し定着した者などは、家臣団・村どちらの〈集団〉にとっても周縁的な存在であり、こうした人々の姿が、近世後期に増加していくことを明らかにした。そして、都市化に伴う人口増加の局面と村方による人別・家数管理、村落秩序の動揺などについて検討することで、近世後期における陣屋元村の社会構造の一端を解明した。以上の研究は学術論文として、塚田孝・佐賀朝・渡辺健哉・上野雅由樹編『周縁的社会集団と近代』(文学研究科叢書12)清文堂出版、2023年3月に掲載された。 さらに、これまで研究を行ってきた大坂定番としての伯太藩と大坂の都市社会との関係については、17世紀後期における定番屋敷の家臣団編成や武家奉公人の供給構造に関する個別研究を踏まえて概括的な論稿を作成した。 今年度は後半に産休・育休を取ったこともあり、1年を通じて当初計画した通りには調査・研究は行えなかった。次年度、研究の再開に向けて準備し、計画を再設定したうえで課題を遂行していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
22年度は妊娠・出産・育児に伴い、計画通りの調査・研究が行えなかったため。特に、遠方への出張や、史料調査などが全く実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
22年10月以降、産休・育休のため研究中断期間に入り、現在は研究再開に向けて準備を進めている段階である。まだ研究より育児の占める時間の方が長い状況であるが、23年度秋以降、本格的に研究を再開する予定である。その際の課題として、これまで進めてきた伯太村青木家文書について、より掘り下げて分析を行うこと、当初実施予定である伯太藩領の未調査史料について、調査に着手することが挙げられる。これらを進めることにより、遅れている分を取り戻したい。
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