研究課題/領域番号 |
20K00997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
金山 正子 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (20311491)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 歴史資料 / 天然素材 / 合成素材 / 保存状態調査 / アーカイブ / プラスチック素材 / 人絹レーヨン / 保存処理 / 劣化促進試験 |
研究開始時の研究の概要 |
脆弱で短命な合成素材が多用されている現代資料とモノ資料に焦点をあて、素材および劣化状態調査を進めその実態を把握する。さらに、劣化抑制としてどのような措置を講ずればよいのかを検討する。また劣化サンプルを参照できる実用性のある劣化状態調査のためのキットを作成し、実際に保存施設内において試験的調査を実施する。また、劣化しやすい素材については、その強化方法を具体的に検討する。さらに、パーソナル・ドキュメントの取り扱いについても、個人情報に配慮しつつ、資料を理解するうえでのコンテンツとしてどのように利用公開していくのか、資料保存管理の面からもアプローチしていきたい。
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研究実績の概要 |
アーカイブに必要なことは、結果(result)だけを残すのではなく、原案(Draft)や試作品(Prototype)から事象の推敲の過程を辿れるように歴史資料を残すことである。さらに、歴史資料を活用するには、紙を媒体とした記録資料だけでは、時代背景を映し出す資料としての価値が半減することがある。本研究では、記録資料とモノ資料をセットで保存することの必要性と意義、さらにその活用のための素材研究と劣化抑制の対策について検討した。対象としたのは、アーカイブなどに保管されている、第二次世界大戦の戦時体制期から高度成長期以降の資料である。 たとえばサンプル帳や試作品・模型・記念品などの、文書記録類ではなくそれに付随する紙以外の素材の資料やモノ資料を含め総合的に保存する視野を示唆するためでもある。これらの現代資料には近代以前の資料を構成する天然素材とはあきらかに性質の異なる合成的な素材が多用されており、その急激な劣化が将来的に懸念されている。また残すことを意図せずにありあわせの素材で偶然的に作られ残された資料の保存と、その背景を検証するパーソナル・アーカイブの保存においても検討を加えた。歴史資料といえば一般的には紙に書かれた文字を残すというイメージがあるであろうが、実際に公文書館や文書館で保存されている記録資料には付随するモノ資料の存在が少なくない。 研究期間は、世界的なコロナウィルス蔓延の影響のため4年間に延長し、海外関連機関での実地比較調査も行った。また国内の複数機関での状態調査を行い、現代布資料、プラスチック資料、複合資料ごとの調査手法を提示し、調査キットを試作した。劣化抑制のための保護措置、修復処置以上の積極的な予防強化処置の具体的手法の提示は今後の課題であるが、現段階での成果は研究成果報告書にまとめる予定である。
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