研究課題/領域番号 |
20K00999
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 京都大学 (2022-2023) 名古屋大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
大橋 厚子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (80311710)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | インドネシア・ジャワ島 / 強制栽培制度 / ジャワ島 / 近代史 / 生存基盤確保型発展径路 / 華人商人 / 19世紀ジャワ島 / アジア史 / 19世紀社会経済史 |
研究開始時の研究の概要 |
ジャワ島で実施された強制栽培制度(1830-1870年)は、夫役労働を利用してコーヒー・砂糖等の一次産品を生産する植民地制度であり、この制度によってオランダは多大な利益を得た。この制度のジャワ社会への影響は、これまで、①農民が疲弊したとする議論と②農民の経済状況が好転した、とする二つの対立する評価に分かれたまま推移してきた。その一方で、強制栽培制度のもと、③ジャワ島では人口急増が見られ、また④森林破壊に由来する水源破壊が起きていた。本研究の目的は、①②③④の諸現象が同時出現するメカニズムを明らかにし、合わせて現在のインドネシアにおける人口増加・環境破壊の構造的原因について議論することである。
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研究成果の概要 |
従来研究のなかった強制栽培制度とアジアにおける自由主義貿易の動向との関係を検討し、新たに以下を論じた。強制栽培制度と自由主義貿易は不可分に結合していた。結合要因は(1)コーヒーなど輸出用一次産品に対するオランダ植民地政庁の住民への支払、(2)植民地政庁の地税徴収、そして(3)政庁と結託した華人商人による一次産品生産地・国際港間の輸送と商業の独占であった。これらによってジャワ島内の理事州同士、およびジャワ島とオランダ勢力圏の周辺諸島とがひとつのシステム内に接続された。さらにグローバルな貿易動向と、このシステムの下で生活を安定させたジャワ島住民の人口増加とが、強制栽培制度を徐々に変質させた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
以下の点で、新しい視角からの議論を行った。 1)従来、理事州単位でのみ行われていた個別実証研究を、互いに比較し関連付ける方法で、全理事州のシステム的連関を浮かび上がらせ、かつ19世紀前半・半ばについてはこのシステムを動態的に把握した。2)同様の方法で貿易と商業についてジャワ島の対欧米貿易、アジア間貿易、ジャワ島内の商業が互いに接続し、影響しあっていたことを示した。3)2020年代の転換期に、参照するに値する新しい実証研究に道を開くために、グローバルな貿易危機からの回復の光と影について輸出入、貨幣流通、物流、食糧生産に焦点をあてて先行研究と公刊史料を整理した。
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