研究課題/領域番号 |
20K01002
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小林 亮介 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50730678)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | チベット / 中華民国 / 清朝 / ダライ・ラマ政権 / 東チベット / イギリス / 第一次世界大 / 第一次世界大戦 / 日本 / 英領インド / 中国 / シッキム王国 / アメリカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,第一次世界大戦後の国際関係とチベットの動向をとりあげ,高い史料価値を持ちながらも従来十分に利用されてこなかったチベット語外交文書を活用しつつ、「事実上の独立」状態にあったと言われる20世紀前半における、チベットの政治・外交の実態を明らかにすることを目指すものである。特に、①イギリス・中国・チベットによるシムラ会議決裂(1914)以降の三者間の交渉と相克、②第一次世界大戦後の民族自決主義・国際主義・共産主義などの思想・原則・運動の現れを、チベットの動向に即して検討し、チベットの近代を、アジア史・世界史の中に位置付けることを試みる。
|
研究成果の概要 |
本研究は、第一次世界大戦前後におけるチベット(ダライ・ラマ政権)の外交と軍事を、イギリス・中国との関係を中心に考察した。第一次世界大戦前後、中華民国と対峙した当時のダライ・ラマ政権は、外交や軍事においてイギリスに大きく依存していたことが強調される傾向にある。しかし、本研究では、イギリスの意図とは必ずしも一致しない、ダライ・ラマ政権の軍事行動、外交交渉、条約解釈、さらに政権の対外政策を担った官僚たちの判断や動向を明らかにした。1950年代まで続くチベットの「事実上の独立」状態の持続の背景は、こうしたダライ・ラマ政権自身の意図や論理に即して解明していく必要があるだろう。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
清朝崩壊後、中華人民共和国に編入されるまでのチベットは、国家の地位に関して法的(de jure)な承認を欠きつつつも、ダライ・ラマ政権が内政と外交の実質的な権限を掌握した「事実上(de facto)の独立」状態にあったと言われている。本研究は、このいわゆる「事実上の独立」状態の出発点となった第一次世界大戦前後における、ダライ・ラマ政権のイギリス・中国との関係に注目し、特にダライ・ラマ政権による領域確定のプロセスを国際的要因とチベット側に内在する論理の両面から明らかにした。チベットに関する本研究成果は、「帝国」の狭間で国家形成を目指した同時期のアジア諸地域の動向と比較可能な事例となるであろう。
|