研究課題/領域番号 |
20K01009
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
|
研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
閻 立 大阪経済大学, 経済学部, 教授 (30434781)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 東三省の建省改制 / 中央官制改革 / 各省官制改革 / 徐世昌 / 清末新政 / 趙爾巽 / 袁世凱 / 東三省建省 / 官制改革 / 北洋 / 東三省官制改革 / 満漢関係 / 開市開港 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は清末の1907年から1911年までの東三省の官制改革を研究対象とする。 まず官制改革の人事に焦点を当て、東三省総督と奉天省、吉林省、黒龍江省の巡撫人事の決定過程を考察することで満漢関係の対立と妥協の実態を把握する。そして、東三省地域の開港開市をめぐる総督と各省巡撫の対外政策を究明し、満漢の権力闘争による列強との関係の変化を分析する。さらに、これらの変化が清政府の対外政策に与えた影響について検討する。 この研究を通して、「保守と改革」と違う視点から東三省の官制改革の多様性を再認識し、清末の改革を多角的に考察する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、1907年の東三省の建省改制の過程を考察する。清王朝の発祥地である東三省では、清末新政の改革に伴って、内地と同様の行省体制が導入された。その経緯と、結果および影響について究明するものである。 昨年度までの成果を踏まえ、2023年度の研究成果は、主に次の2点である。 1点目は、東三省の建省改制について、中央官制改革と各省官制改革との関係の分析を行った。1906年9月、清朝政府は立憲制の導入に先立って中央で官制改革を行い、中央集権を強めた。一方、張之洞などの地方官僚は省の官制改革に対して消極的な意見を示したので、各省の官制改革は難航していた。そこで、清朝政府は各省の見本として、まず行政組織が複雑ではない東三省で官制改革を行うことを決めた。ゆえに東三省の建省改制は、日露戦争以後の東三省の善後策のみではなく、立憲制導入の一環という側面を持っているといえる。 2点目は、東三省総督の徐世昌が主導した奉天省、吉林省、黒龍江省の官制改革の内容を分析し、その結果と影響を検討した。これまで内地の総督と巡撫は同級関係であるが、徐世昌はそれを上下関係に変更し、総督を最高権力者と定めた。また以前から問題視されていた職務の重複に因り非効率な「布政司」の職位を廃止し、内地各省とかなり異なる官制を設けた。このような東三省の官制は中央の官僚層には反対されたが、朝廷は静観をしていた。「総督集権」の東三省の行政体制を静観したのには、やはり東三省が直面していた日本とロシアの対外的問題が強く影響していたといえよう。結局、東三省の官制改革は各省の見本にはならなかったのである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの完全収束によって、各図書館での調査は基本的にコロナ前と同様になった。資料の整理などもおおむね順調に進展している。そして、日本と中国で研究報告をし、フィードバックをもらって、論文を執筆した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度となるため、研究課題のまとめに力を入れて、研究成果は日本と中国で報告し、論文として公表できるよう努力する。
|