研究課題/領域番号 |
20K01017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小林 聡 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40234819)
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研究分担者 |
戸川 貴行 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60552255)
石原 聖子 (大知聖子) 名城大学, 理工学部, 准教授 (80650647)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 南北朝後期 / 隋唐帝国 / 南朝貴族 / 墓誌 / 唐王朝の南朝化 / 南朝系人士 / 文化融合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、伝世文献資料墓誌を活用しつつ、【補助事業期間中の研究実施計画】で述べた方法によって、南朝系人士が北朝・隋唐政権下において果たした歴史的な役割を明らかにし、隋唐王朝の持つ多様性の一端を提示しようとする。やや具体的に言えば、①南朝系人士は、どのような経緯で北遷したか。②北遷後、南朝系人士の活動状況、南朝系の家系としてのアイデンティティや相互の連携。③北朝・隋唐諸王朝の南朝系人士に対する処遇。④北朝・隋唐諸王朝の制度や文化などに対して、南朝系人士はどのような影響を与えたか。といったことを考えていく。
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研究実績の概要 |
本研究のテーマは「6~8世紀華北における南朝系人士の活動と文化融合」であり、6~8世紀(中国の王朝区分で言えば、南北朝後期・隋・初唐・盛唐)の中国諸王朝が民族的にも(中国内の)地域的にも多様な社会や文化を包含しつつ、文化的融合を進めていった有様を、特に南朝的要素・南朝系の人士に注目し、彼らの活動を明らかにしようとするものである。こういった作業によって、隋唐帝国の多様性の一環を明らかにしうると考えたのである。本研究においては、正史をはじめとした伝世文献史料の他に、大量の墓誌を使用して南朝人士とその家系の足跡を追おうとする点が特徴であり、研究代表者の小林聡、および研究分担者の戸川貴行は従来の南朝研究、研究分担者の石原(大知)聖子は北朝研究の研究蓄積を生かして研究を進める予定であった。 しかしながら、2020、2021年度に引き続き、2022年度もコロナウイルス蔓延のために、国内や中国での調査を進められる状況ではなかったので、海外出張は断念し、研究代表者・研究分担者ともに本研究に関連する史資料の整理など、基礎的な作業に従事した。中国で続々と発見される北朝隋唐の墓誌については、最新の出土情報を得ることにつとめたが、特に石原(大知)の北魏史・北朝史に関する専門的な知識やデータ処理技術を駆使した研究や、墓誌の叙述形式にまで目を配った研究に助けられている。また、戸川は礼制・音楽史に、小林は礼制・服飾史に各々焦点を当てた研究を進めているが、いずれも南朝から隋唐への流れを意識したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように、2021年度から引き続き、2022年度もまた全国的なコロナウイルス蔓延のために国内出張をなるべく控えたため、研究の打ち合わせも直接行うことができず、また中国へ渡航して、遺跡調査や文物の実見などを行うことが困難な状況であったため、実地調査の機会も失われてしまった。 如上の理由によって、2022年度の研究は、手元にある史資料を活用したものにならざるを得なかった。研究分担者の戸川貴行は魏晋南北朝史に関する専門的な知識、特に南北朝末期から隋・唐初にかけての礼制知識を生かした業績をあげることができた。また、石原(大知)聖子はIT技術を駆使した北魏墓誌の分析を進めているとともに、進出墓誌の整理作業にも寄与している。これらの研究成果は大きく言えば、本研究の土台となるものであり、2022年度における本研究は、一定程度の進捗を見たといえるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
目下、国内出張については可能になったものの、海外(主に中国)出張は慎重にならざるを得ない。しかしながら、中国で出版された史籍や研究文献は購入することが十分可能であり、また、研究対象の中核となる北朝隋唐の墓誌(拓本)についても中国で出版された図録を購入、あるいは閲覧することはできるので、本研究の本来の目的である、墓誌を活用した北朝隋唐における南朝系人士の活動の解明を進めるのに、こういったハンディキャップはそう大きな障害にはならないと考えている。2023年度は最終年度になるので、必要なデータを収集・整理していくとともに、論文作成・学会発表も積極的におこなっていきたい。なお、研究代表者の小林は、現在、初唐の南朝系女性の墓誌である「岑平等墓誌」を題材にして初唐における南朝系人士の活動を探る研究を計画しているほか、研究分担者の戸川・石原(大知)も、新たな研究を計画している。
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