研究課題/領域番号 |
20K01020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古市 大輔 金沢大学, 人文学系, 教授 (40293328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 清代 / 盛京 / 科挙 / 婚姻 |
研究開始時の研究の概要 |
清代後期の19世紀後半には、清朝の故地とされたマンチュリアが漢人移民の流入地域へと次第に変化していったが、これに沿うかのようにその地域社会にも変化が生じ、この時期になって初めて科挙受験に趨ったり、婚姻を通じた新たな社会関係を構築したりした家族集団も現れた。 本研究は、マンチュリア南部の盛京(奉天、現・遼寧省)社会の人々が清代後期に試みた科挙受験と婚姻のありように注目し、そこにみられる人々の動機や選択・戦略を明らかにすることを通じて、清代後期のマンチュリアにおける地域変動の特徴の一端を解明することを試みるものである。
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研究成果の概要 |
本研究では、19世紀後半の盛京における文人科挙官僚家族の歴史を紐解き、そこに表れた彼らの社会的戦略とその特徴を明らかにすべく作業を進めた。その結果、以下の点が明らかになった。 (1)清代後期の盛京社会では、清初に盛京に移住し、この時期になって始めて科挙合格者を輩出したという変化を経験した家族集団が増加したが、彼らはその変化を基礎に地域社会における自集団の地位の安定と域外への婚姻圏の拡大とをさらに求めていったことが見て取れた。(2)この清代後期という時期は、旗人・漢人を問わず、そうした新興科挙官僚家族集団の抱いた戦略が盛京社会に広く行き渡りつつあった時期であったという見通しを示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で提示し得た清代後半の盛京における文人科挙官僚家族の社会的戦略やその特徴からは、清代マンチュリアという移民社会のなかの「移動」現象のみならず、その地域への「定着」という過程の一端を垣間見ることもでき、その長期的歴史変動過程を理解するための新たな観点・論点を提示できたこと、また、これによって清代中国における移民社会の歴史研究などにも新たな提起をなし得ることなどが、本研究の学術的意義として挙げられる。 また、本研究で試みた歴史の捉え方は、大きなうねり・変化・流動性のなかで日常的にそれへの対応を迫られている現代の個人や家族の選択・判断に対しても、小さいながらその参照事例・提言として提示し得る。
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