研究課題/領域番号 |
20K01022
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 覚 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (60359867)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | サウディアラビア / ワッハーブ主義 / ジハード / 全方位均衡 / 国家形成 / リアリズム / テロ / ロヒンギャ / サラフィー / イスラーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、サラフィー主義(預言者ムハンマドの教友を範とするイスラーム思想)的なジハード教義が、イスラーム国家の形成を促進したのか、それはどのような過程としてなのか、サウディアラビアを事例に分析する。この大問を解くために、次の二つの小問(イ)と(ロ)をたてる。つまりまず、(イ)サラフィー主義(いわゆるワッハーブ主義)のジハード教義はどんなものか。また(ロ)ジハードの教義が、サウード朝からサウディアラビア王国までの国家形成に及ぼした政治的影響は何か、検討する。
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研究実績の概要 |
四年目は、5月に日本中東学会第39回年次大会にて「ムハンマド・ビン・アブドゥルワッハーブはなぜムスリムと戦ったのか」と題して、ムハンマド・ビン・アブドゥルワッハーブのジハード概念とタクフィール概念に関する研究成果を口頭で発表した。さらに、同研究成果は、Middle East Studies Association(MESA)2023(Montreal, Canada)で、“The perception of Muhammad bin Abd al-Wahhab on takfir and jihad”と題して国際大会で研究発表することができた。また、12月に開催された日本ムスリム協会イスラーム教養公開講座にて専門家と意見交換する機会を得た。このように、国内外で、本科研研究によるワッハーブ主義に関する研究成果が確かめられている。 また、昨年度から出版予定となっていて2023年6月に刊行された中村覚監修・編著者『君主制諸国』ミネルヴァ書房の中には、全方位均衡論に関する研究3本とサウディアラビアのテロ対策に関する研究1本、計4章が収録された。それらは、「序章 君主制国家を論ずる視点」、「外交―全方位均衡論とサウディアラビア建国期のバンドワゴン―」、「君主制国家の実証と全方位均衡論のモデル」、「王制の恒久化――サウディアラビアの対テロ戦争化、人権侵害、国家主義化――」である。さらに、査読付論文「全方位均衡論と難民理論の接合:サウディアラビア国内でのロヒンギャ難民の保護を中心に」を出版して、全方位均衡論をグローバルサウス問題に汎用的に適用できる応用方法を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四年目は、ワッハーブ主義の開祖と言われるムハンマド・ビン・アブドゥルワッハーブのジハード概念とタクフィール概念に関する本研究成果を国内外で発表して確信を深めつつ、専門家のフィードバックを得ることができた。これは、世界でも初めて一次資料を活用してムハンマド・ビン・アブドゥルワッハーブのジハード概念とタクフィール概念を検証した成果である。この成果については、5年前に国際研究発表を見込みにしていた国際学会とは異なる学会ではあったが、MESAという世界最高水準の国際学会で報告を行うことができた。また、四年目には、全方位均衡論の応用方法を刊行論文に発表した他、全方位均衡論の理論的体系性を高めるための考察成果を五年目に発表するための準備を進めておいた。
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今後の研究の推進方策 |
五年目には、日本国内の学会と二つの国際学会で、サウディアラビアの全方位均衡行動に関する研究発表2本と、全方位均衡論の理論的発展に関する計三回の研究発表の申し込みが既に採用されているので、成果をさらに拡大できる見込みである。本科研研究の成果を外国で書籍として出版するのが本科研申請時点での当初目標であったが、四年目までの研究成果は、この目標が達成可能な程度にまで質量共に蓄積されている。これまでの研究成果を体系化するために五年間で蓄積した論文の間の議論の流れを一貫したものに整えて、英訳し、出版する予定である。
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