研究課題/領域番号 |
20K01024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
福永 善隆 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (00581539)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 官僚機構 / 側近官 / 武帝 / 監察 / 劉邦集団 / 内朝 / 前漢 / 官僚制度 / 丞相 / 尚書 / 御史 / 察挙 / 官僚制 / 監察制度 / 人格的結合 / 官制 / 服色改正 / 中国古代 / 漢代 |
研究開始時の研究の概要 |
前漢創業の功臣たちが構成する劉邦集団は、前漢前半期には皇帝を掣肘するほどの勢力があった。本研究は集団内部の序列・「人格的結合」など、劉邦集団の構造が官制秩序にどのように反映され、展開するのか、前漢後半期まで視野に入れて追究する。それにより、中国の皇帝支配の特質として指摘される「礼=法入り組み構造」の形成・実態の新たな側面として、前漢前半期の体制の影響も明らかになると考えられる。
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研究実績の概要 |
本年度は汲古書院から『前漢官僚機構の構造と展開』と題する単著を刊行した。本書は、十章で構成され、皇帝の側近官の展開を中心として、前漢後半期における官僚機構の展開と構造を論じた。その結果、1)皇帝の側近官には、律令だけでは判断できない事案の処理や高官の人事等、本来皇帝だけが行使される大権が委ねられていることから、彼らが理念上「皇帝と一体化した存在」として位置づけることができること、2)郡国制から実質的郡県制への転換に基づき、1)の側近官によって構成される皇帝官房が組織化され、強化されたこと、3)他方、既存の官僚機構も、上の国制の転換により全国を一元的に統治するために、人事考課の充実・強化により、効率的な運用が求められるようになったこと、4)1・2は並行して進められ、その結果、皇帝官房たる尚書と官僚機構のトップたる三公が協同して運用される統治機構が、前漢末に確立したことが明らかとなった。この成果により、前漢武帝期以降、後半期における官僚機構の展開に関して、本研究課題における所期の課題はほぼ達成された。 また、前漢前半期については、 邉見統著『前漢時代における高祖系列侯』と題する書評を『史潮』新93号にて上梓し、劉邦集団研究の現状や今後の課題についての自身の考えを提示した。特に、これまで前漢前半期だけを考察対象としていた劉邦集団の影響について、後半期まで視野に入れて、その官僚構造に与えた影響を考えるべきとして、本課題の根本にある問題意識を提示した。その際、彼らの結節点である劉邦が生身の存在から、理念化された存在へと変質していく過程について追究すべきとの論点を提示した。この点は、本研究課題の今後の見通しとも関わる論点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2024年3月に、本課題の成果を含めて、汲古書院から『前漢官僚機構の構造と展開』と題する単著を出版し、その前に挙げていた成果と結びつけて、体系化することができた。よって、当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
文帝期の察挙と劉邦集団の構造との関連について、論文化を目指す。近年公刊された『張家山漢墓竹簡〔三三六号墓)』功令は、本研究課題の対象とする文帝期の人事の実態を捉える上で重要な史料である。そこに含まれる人事規定にも目配りをしながら、研究を進める。その際、今年度公刊した『前漢官僚機構の構造と展開』に寄せられる反応も踏まえて研究を進めていきたい。
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