研究課題/領域番号 |
20K01032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小原 豊志 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (10243619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ポピュリズム / 人民主権論 / アメリカ民主主義 / ドアの反乱 / ネィティビズム / ルーサー対ボーデン裁判 / アメリカ民主政 / 反知性主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アメリカ合衆国の建国以降に民衆が構築した人民主権論の論理構造を分析するとともに、その実践として各地で頻発した「反乱」を、反エリート的心性である反知性主義の観点から分析する。 なお、その際には黒人や移民などの特定のマイノリティを「人民」の範疇から排除した民衆の「人民」観に細心の注意を払うことにより、初期アメリカ史におけるポピュリズムの革新性と反動性を識別し、その両者の内的関連を解明する。 以上により、アメリカ民主政の発展・確立期にポピュリズムが果たした功罪を解明することが本研究の最終目的である。
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研究成果の概要 |
本研究はアメリカ合衆国において民主政が確立する18世紀末から19世紀前半期にかけて頻発した「反乱」を民衆が独自に構築した人民主権論にもとづくポピュリズム運動ととらえ、その論理と運動の全体像を描き出すことにより、ポピュリズムが合衆国政治文化の基礎形成期に果たした役割を明らかにしたものである。とくに本研究においては建国期のマサチューセッツ州とペンシルヴァニア州、および1840年代初頭のロードアイランド州において発生した「反乱」を分析することにより、人民の直接的な政府改廃を是とする人民主権論が時代とともに異端化されたこと、およびそれにもとづくポピュリズム運動も危険視されていったことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は現代世界において「大衆迎合主義」として否定的にとらえられるポピュリズムの起源をアメリカ合衆国の建国期に求め、その理論的根拠が同国の独立宣言にあることを解明するとともに、従来「反乱」とみなされてきた民衆による反政府行動が独立革命原理に則ったポピュリズム運動であること、そしてそこには自己決定主義にもとづく強烈な主権者意識が貫徹していたことを立証したものである。本研究によってアメリカ民主主義の基礎には主権者の直接的行動を是とする人民主権論があり、ポピュリズムとはその発現形態であったことを明らかにすることができたことにより、主権者の権能やその行動のありかたについて再考を促すことができた。
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