研究課題/領域番号 |
20K01036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
増田 都希 一橋大学, 大学院経済学研究科, 特任講師 (50760633)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | マナー / マナーブック / 市民社会 / 商業社会 / 交際 / 商業 / 交際・商業社会 / 規範 / 18世紀フランス / 礼儀作法 / 18世紀 / フランス |
研究開始時の研究の概要 |
ヨーロッパ史では17世紀を「宮廷社会」、19世紀を「産業社会」と呼び習わしてきた。本研究では、18世紀の社会形態を表す概念として「交際・商業社会societe de commerce」を提起する。「(マナーに則った)交際」による敬意の表象の交換、「商業」による財の交換という有形・無形の不断の交換活動と、交換活動が築く相互依存関係を基盤とする社会である。また、それは都市社会の生きた現実でもある。当時の一般読者の目線に近いと思われるマナーブックから、その実相に迫りたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、十八世紀後半フランス社会を、有形・無形の不断の交換活動と交換活動が築く相互依存関係を基盤として発展を目指す「交際・商業社会」と捉え、その実相をマナーブックの分析から捉えることである。 実施計画では、1)十八世紀後半の「マナーブック」の内容分析、2) 同時代の政治経済論と「マナーブック」との比較分析、3)競売カタログを用いた 「マナーブック」の所有実態調査、4)フランス革命期の「マナーブック」の史料開拓の四点を目標に掲げていた。 1)、2)はテクストマイニングという新しい分析手法を加え、着実に分析を進めてきた。言語解析のための準備作業を学生アルバイトの採用によって効率的に進め、申請者は分析に集中することが可能になった。その点では研究費を非常に効果的に利用することができた。 令和五年度はこれまでの遅れを取り戻すための延長期間であったが、その中での最大の成果は、3)競売カタログ調査の進展、令和四年度までの成果の国際学会における発表の二点である。競売カタログは書籍の競売時に一般公開される資料で、競売対象の書籍名が一点一点記載されており、いかなる書籍が所有され、読まれていたかを知るための貴重な史料群だが、これまで十分に活用されてこなかった。本研究の関係書籍の所有実態が少しづつ見えてきたところであり、言語解析とともに引き続き調査を進めたい。また、これまでの成果を国際十八世紀学会で発表し、令和六年度に論文の形での発表を目指す。 令和五年度もやや遅れていたのが、4)の史料開拓である。コロナ禍に中断していたが、その代替措置として言語解析に着手したが、こちらに注力したために史料収集の時間が十分に取れなかった。こちらの調査は今後も継続し、早急に遅れを取り戻したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和五年度の遅れは二点ある。第一に、フランス語論文の執筆の遅れである。分析および国際学会での発表に注力し、論文執筆のための時間が十分に取れなかった。ネイティヴ・チェック者への謝金を確保していたが、令和五年度中の執行が叶わなかった。こちらは早急に実現したい。 もう一点は研究内容4)の史料開拓である。国内外での調査を必要とするためコロナ禍に中断していたが、その代替措置として導入した言語解析に時間を取られ、史料開拓のための時間が十分に取れなかった。今後の研究で遅れを取り戻したい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、1)十八世紀後半の「マナーブック」の内容分析、2) 同時代の政治経済論と「マナーブック」との比較分析、3)競売カタログを用いた 「マナーブック」の所有実態調査、4)フランス革命期の「マナーブック」の史料開拓の四点からなる。今後もこれらを主軸に進めていく予定だが、研究対象時期の拡大とやや手薄だったものに注力することになる。 第一に、コロナ禍において国内図書館・フランスでの現地調査を中断していたため、4)の史料開拓が本研究のなかで最も遅れが生じていた。今後は国内・国外ともに調査を実施し、早急に主要史料のリストを完成させる予定である。 第二に、3)カタログ分析の進捗も芳しくなかったが、史料収集・分析を進めており、令和六年度に成果発表にこぎつけたい。1、2)は継続して分析を進め、さらに新しい分析手法(テクスト・マイニング)も進めてきた。今後は、フランス革命期から十九世紀前半に分析対象を拡大し、継続していきたい。
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