研究課題/領域番号 |
20K01039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高田 京比子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (40283668)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | バッサーノ / ヴェネツィア / ヴェネト / 河川交通 / 西洋中世史 / イタリア史 / ロンバルディア同盟 / フェッラーラ / ポー川 / イタリア / 中世 / 河川 / 紛争 |
研究開始時の研究の概要 |
都市国家が分立する中世の北イタリアにあって、各政治権力の境界を横断する河川は、これらを互いに協力や紛争に導く働きを担っていたと考えられる。本研究では、このような点を踏まえ、河川交通という経済・環境的要因と紛争という政治状況がどのように絡まって地域の秩序が形作られていくかを考える。具体的には13世紀後半のブレンタ川、アディジェ川、ポー川を取り上げて、河川の終着点ヴェネツィアと内陸諸都市が結んだ協約や年代記史料の綿密な検討を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、4月に論文「マルコ・クェリーニの裁定とバッサーノー13世紀後半のヴェネト(イタリア北東部)の小都市をめぐる地域秩序」を『フェネストラ』に発表した。その後、バッサーノとブレンタ川の関係をさらに掘り下げるべく、バッサーノの1259年の条例集を調査し、9月にイタリア中近世史研究会にて「バッサーノの条例集」というタイトルで発表を行った。この発表では、河川交通との関係に限らない、バッサーノの自治のあり方を条例集から明らかにした。思っていたよりも、バッサーノが農業に基礎をおく集落であったこと、しかし近隣のパドヴァ、ヴィチェンツァ、フェルトレなどとの交通は活発に行われていた模様であることが明らかとなった。その後、バッサーノがパドヴァの支配下に入った1295年の条例集の調査も行ったが、ブレンタ川の木材に関する規定が少し詳しくなったほかは、河川交通との関わりを窺わせる規定はあまり見られなかった。また、この二つの条例集の間のバッサーノの史料を刊行した、I documenti del comune di Bassano dal 1259 al 1295にも目を通したが、パドヴァやヴィチェンツァのバッサーノへのさまざまな要求に対して、バッサーノ側がしばしば、「マルコ・クェリーニの裁定」に言及していることなどがわかったものの、この史料集に含まれているバッサーノとヴェネツィアとの関係は限られたものであることも確認できた。したがって、ブレンタ川を通じたヴェネツィアとバッサーノの関係、それがパドヴァ、ヴィチェンツァを含めたヴェネト地方の地域秩序に与えた影響については、すでに公表した論文以上のことは言えないのではないか、と現在思い至っている。バッサーノをめぐる地域秩序については、河川交通にこだわらない視点から、マルコ・クェリーニの裁定の重要性などを含めて研究する方が有益であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
バッサーノとヴェネツィアのブレンタ川を通じた関係をさらに深めて調査しようとして、マルコ・クィリーニの裁定についての論文を執筆した後、バッサーノの条例集の検討に移った。しかし、1259年の条例集にも1295年の条例集にもブレンタ川についての言及は少なく、計画が行き詰まった状態である。また中世イタリアの女性史に関する概説の執筆を依頼されており、そちらの準備に時間を使ったことも科研の研究の遅れに繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
13世紀後半のバッサーノをめぐる地域秩序については、マルコ・クェリーニの裁定以外にヴェネツィアの関与はあまり見られず、パドヴァ、ヴィチェンツァを中心とした河川に限らない地域秩序のアプローチが必要だと思われる。ただポー川とヴェネツィアの関係については、13世紀後半に関してまだ深める余地があると考えられるので、今後はそちらの史料を見ていくことにしたい。
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