研究課題/領域番号 |
20K01041
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鶴島 博和 熊本大学, 大学院教育学研究科, 名誉教授 (20188642)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 銭貨製造人 / 銀貨 / 銭貨製造場 / 『ドゥームデイ・ブック』 / 交易 / 海域 / イングランド / 11世紀 / 個別発見貨 / 通貨システム / 中世ヨーロッパ経済 / ジェントリ / Early Medieval Coin / moneyers / England / long-eleventh century / Europe / Domesday Book |
研究開始時の研究の概要 |
(1)ケンブリッジ大学附属フィッツウイリアム博物館や大英博物館の貨幣でターベースなどから、1042年からの1099年までのイングランドで確認できる銀貨製造人を抽出し、地域ごとのデータベースを作成する。 (2)1086年の全王国的審問の報告書である『ドゥームズデイ・ブック』に記載された銀貨製造と考えられる地域有力者を可能な限りすべて抽出して、彼らの保有地などから、プログラヒカルなデータベースを作成する。 (3)(1)と(2)突き合わせによって、銀貨製造人の社会的、政治的、経済的立ち位置を再構成して、イングランドのヨーロッパ世界における構造的位置を解明する。
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研究実績の概要 |
本年度は、7月に渡英し、7月4日にLeeds International Medieval Congressで'Herring, Market and Salt-production in Domesday 'Broads'と題する報告を行った。 しかし、その後、現地でコロナに罹患し、共同研究者であり現在イギリスにおけるDomesday Book研究の最大の牽引者であるロンドン大学歴史研究所上席研究員David Roffe博士のもとで療養し、症状は軽度であったために、主として氏の所有する文献と史料を使って研究を進めた。それをもとに、2023年5月に名古屋大学で開催される日本西洋史学会で、ケンブリッジ大学教授Rory Naismith博士と、三人共同でのミニシンポジウム「Domesday Book からみた銭貨製造人 (moneyers) の社会 」を企画し採択された。 2022年3月15日に開催された小澤実立教大学教授が代表を務める基盤研究(A)(一般)「前近代海域ヨーロッパ史の構築:河川・島嶼・海域ネットワークと政治権力の生成と展開」で開催されたオンラインシンポジウム「天草灘かくれキリシタンの世界:松浦家文書から見た生業、交易、島嶼ネットワーク」において、鶴島の成果『肥後国天草郡-町田組・大江組大庄屋松浦家資料集』(刀水書房、2021)を、3人の論者と3人のコメンテータとともに、海域と島嶼という観点からの分析を試みた。この報告は論文として2022年度内に公刊された。 2023年1月31日付で、「長い11世紀のイングランド:北西ヨーロッパ海域におけるその構造と位置 c.960~1135年」で博士(文学)の学位を授与された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の研究の最大の眼目は、これまでの40年間以上の研究の総決算としての著作『長い11世紀におけるイングランドの形成とジェントリ』(岩波書店)を出版することであった。現在初校の直前にあり、2022年7月にLeeds International Medieval Congressで研究論文発表を行ったのち、ロンドン大学歴史研究所と大英図書館で、拙著における引用文献と史料の校正と校訂を行う予定であった。それが、コロナウィルスに罹患したために、図書館や研究所での作業を断念せざるをえなくなったため、畏友でDomesday Bookの指導的研究者であるDavid Roffe博士のもとで、Domesday BookのDigita Text Projectに参加し、科研研究を継続したが、当初の目的達成が2023度に延期されたためこの評価とした。なおこの時の成果は2023年度の日本西洋史学会で開示する。また、拙著の初校は、再編集の上、2022年10月31日に九州大学へ博士学位請求論文として提出され、審査を経て2023年1月31日に学位が授与された。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、5月12日、大阪大学でワークショップ、「史料論の新地平:学としての道:デジタルテキスト」をロンドン大学のDavid Roffe、東洋大学教授鈴木道也、東大史料編纂所助教中村覚、千葉大学助教小風尚樹、大阪大学教授藤川隆男ともに開催し、日本にDigital Domesday Text Projectの研究チームを作ることで合意し、今年度中にその最初の一弾であるLinclonshire分をWEB公開する。 5月21日に名古屋大学で開催される日本西洋史学会でミニシンポジウム「 Domesday Book からみた銭貨製造人 (moneyers) の社会」をケンブリッジ大学教授Rory Naismithとロンドン大学歴史研究所上席研究員David Roffeとともに開催し、本科研研究の結論への道筋をつくる。 拙著『長い11世紀におけるイングランドの形成とジェントリ』(岩波書店)を今年度中に出版する。
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