研究課題/領域番号 |
20K01043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
中野 由美子 成蹊大学, 文学部, 教授 (40362214)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アメリカ社会史 / 先住民史 / 西洋史 / アメリカ史 / アメリカ先住民史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、北アメリカ大陸における領土の割譲と先住民に関して、現在のアメリカ合衆国南西部に焦点を絞り、以下の三点について明らかにすることを課題とする。第一に、1848年にメキシコから割譲された当該地域の先住民法・政策について、従前のスペイン領・メキシコ領時代の先住民法・政策との連続性を検証することである。第二に、従前の先住民法・政策との連続性を、誰がなぜ主張したのかを具体的な訴訟に即して明らかにすることである。第三に、合衆国における連邦先住民法とそれに基づく諸施策は、新大陸におけるスペインの先住民法・政策の一部を継承していることを示し、その歴史的意義を検討することである。
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研究実績の概要 |
本研究は、北アメリカ大陸における領土の割譲と先住民の関係に焦点を絞り、合衆国南西部の事例に即して以下の三点について検討することを課題としている。第一に、1848年にメキシコからアメリカ合衆国へ割譲された当該地域について、従前のスペイン領・メキシコ領時代の先住民法・先住民政策と、メキシコからアメリカ合衆国へ割譲された後の当該地におけるアメリカ合衆国の先住民法・先住民政策とを比較し、共通点・相違点を整理することである。第二に、従前の先住民法・先住民政策との連続性ないし断絶性を、誰がなぜ主張したのかを具体的な事例に即して明らかにすることである。第三に、合衆国南西部の領土の割譲という事例研究に即して、合衆国における先住民法・先住民政策の歴史的意義を検討することである。 今年度は、現在の合衆国南西部の先住民社会の事例に即して、主に上記の第二の論点に関する事例研究のための基礎的な研究を行った。具体的には、1848年にメキシコからアメリカ合衆国へ割譲されたいわゆる「メキシコ割譲地」の先住民社会において、20世紀前半に実施された土地に関連する諸施策に関する聴聞会・評議会の議事録等の一次史料の収集・分析を行った。なお、1930年代に南西部の保留地内外で実施された聴聞会の議事録については、一部はPDF版の形でインターネット上で閲覧可能となっている。しかし、本研究のテーマに直接関連する議事録等の史料については、紙媒体あるいはマイクロフィッシュ版に限られていたため、今年度の史料収集の際に入手した。 加えて、昨年度に引き続き、主に南西部の先住民諸社会が個々に編纂した歴史書や一般の読者を想定したパンフレット等を収集した。これらの史料に基づき、領土の割譲とそれに関連する諸施策について、何がどのような形で取り上げられているのか、また具体的にどのような対応がなされたのかなどを精査する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の研究の目標の一つは、スペイン植民地時代・メキシコ領時代を経た現在のアメリカ合衆国南西部の事例に即して、領土の割譲やその後の土地政策と先住民諸社会の対応について関連づけて検討することであった。そのための基礎的な研究として、20世紀前半における先住民の土地に関する諸施策と、先住民の土地に関連する主要な判例に着目し、非先住民・先住民双方の当事者のあいだでいかなる問題点があると認識されていたのか、さらに実際にどのような議論や対応がなされてきたのかという点について検討する作業を行った。 史料収集に関しては、聴聞会や評議会関連の一次史料等の収集については、司書の方々の専門的かつ有益なご助言を得ることができたこともあり、効率よく進めることができた。ただし、基礎的な研究について論稿の形にまとめる作業については、本報告書提出時の2024年度に持ち越して行っているため、2023年度末までの進捗状況としては「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては、昨年度に引き続き、スペイン植民地時代・メキシコ領時代を経た現在のアメリカ合衆国南西部の事例に即して、領土の割譲に伴う先住民の土地に関する権利をめぐる諸施策や訴訟の事例研究を行い、最終的には論稿の形でまとめることを目標としている。その際には、19世紀半ば以降に合衆国領となった地域の先住民諸社会に関しても、これまで行ってきた南西部の先住諸社会の事例との比較という観点からみて必要な事例に限定して、一次史料・二次史料をさらに収集し精読する作業も継続して行う。それと同時に、昨年度から行ってきた先住民側の対応に関する基礎的な研究についても継続して行っていきたい。とりわけ後者については、近年、質の高い新たな研究成果が発表されていることを踏まえて、最新の研究動向のレヴューを改めて行う。そのうえで、主に合衆国南西部の先住民諸社会における当該テーマに直接かかわる議論や対応に関する一次史料を収集し分析を行う予定である。
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