研究課題/領域番号 |
20K01048
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
田中 きく代 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (80207084)
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研究分担者 |
岩野 祐介 関西学院大学, 神学部, 教授 (20509921)
深尾 裕造 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (20135891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | キリスト教社会改革運動 / 国際ネットワーク / 奴隷制廃止運動 / 宣教 / キリスト教の受容 / 西洋化と既存宗教 / 国際基督教ネットワーク / 社会改革運動 / 人権 / エヴァンジェリカリズム / 道徳的説得 / キリスト教 / 太平洋海域への宣教 / 大西洋と太平洋の接続 / 公的祝祭 |
研究開始時の研究の概要 |
奴隷制廃止運動など社会改革運動は、英米では、従来一国史の枠内で考えられてきた。このことは宗教の問題を社会背景としては指摘しつつも、運動の根幹をなすもの、運動の衝動を生み出すものとして積極的に評価することを阻んできた。本研究は、運動の国際性を提示することで、宗教の役割の重要性を指摘し、奴隷制廃止運動など社会改革運動に新たな一石を投じる。つまり、キリスト教の社会改革運動の国際ネットワークの存在に注目し、大西洋海域でなされた社会改革運動が宣教活動として大西洋に接続されたことを提示する。
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研究実績の概要 |
19世紀アメリカ合衆国をはじめ、西洋地域の民主主義の進展、国民化のプロセスを考えるとき、民衆自決による政治参加の問題が問われ、人々の連帯による奴隷制廃止運動などの社会改革運動に焦点が当てられてきた。しかし、それらはキリスト教の影響による宗教的・道徳的覚醒を背景とするものであったものの、従来こうした覚醒やキリスト教の宣教活動と連動して解釈する研究は少ない。ましてや、こうした社会改革運動の国際性を問う包括的研究は皆無と言ってよい。本研究は、奴隷制廃止運動を主体に社会改革運動を究明するものであるが、イギリスからアメリカを経て日本・中国に伸びるキリスト教社会改革運動の国際ネットワークを想定し、「宣教」をキーワードにネットワークの相互移動のプロセスを分析するものである。また、こうしたネットワークの結節点では19世紀に特徴的な祝賀政治の空間が現出する。こうした公的祝祭で紡がれる集合記憶の分析を通して、政治文化史の視点から、公共圏の実相とそこにおける宗教の問題を問い直そうとするものである。 研究実施計画としては、研究代表者、研究分担者の海外調査が主体である。また、関連の研究者の研究ネットワークを構築することで、よりグローバルで包括的な理解を深めることにも主眼がある。そのために、より広い地域をカヴァーするために、ズームなどを駆使して、定期的に研究会を開催し、他分野の宗教に関連する歴史研究者による知見を得ることにし、実際に実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外調査の点で、進捗しているとは言えない。2023年度に渡航が容易になることが想定されるので、研究代表者、研究分担者は海外調査を予定しているが、2022年度では実施することができなかったからである。 ただ、もう一つの目的であり、実施計画にある、研究ネットワークの構築による研究者の相互理解に関しては、きわめて順調に進んでいる。2022年度は、イギリス、アメリカ、ハワイ、中国、日本の場合のケーススタディの研究報告を受け、研究者各自の研究領域との比較検討をした。共通性としては、キリスト教など普遍的な宗教の受容の過程で、宣教は一方的な西洋化という従来の研究とは異なる、「民族的な」地域信仰との多様で複雑な関係が見られた点がある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、まず、研究代表者、研究分担者が海外調査を実施し、研究会での報告を通して、それらを共通理解とする。 研究ネットワークの構築の方では、従来通り、リモートによる研究会を定期的に実施し、イギリス、アメリカ、ハワイ、中国、日本の他に、東アジア、東南アジア、太平洋の島島など、研究領域を充実させる。 2024年度までに研究を纏め、2025年には成果を公表する。同時に、小中学生用のキリスト教社会改革運動に関する書物の翻訳をし、刊行する。
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