研究課題/領域番号 |
20K01049
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
朝立 康太郎 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (80513762)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アンテベラム期南部 / 奴隷制 / 国制観 / ジョン・C・カルフーン / 南部史 / 奴隷制擁護論 / C・V・ウッドワード / アンテベラム / 連邦制 / 南部奴隷州 / トマス・クーパー / アメリカ合衆国南部 / 政治経済学 / アメリカ史 / 南北戦争 / 南部 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1830年代以降に南部知識人(Southern Intellectuals)が唱えた奴隷制擁護論や南部社会擁護論を、19世紀の欧米世界に出現した「自由な社会」に抵抗する社会思想の一つとして捉え、その特質の時期的な変化を整理しつつ、それらが最終的に連邦体制の崩壊(南部奴隷州の連邦離脱と南北戦争の勃発)と接続する具体的な過程を究明するものである。
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研究実績の概要 |
本研究計画の3年目となる2023年度については、計画書において第三の具体的課題として挙げていた「南北対立が先鋭化した1850年代後半に複数の南部知識人が唱えた思想・言論の特徴を明らかにすること」に取り組んだ。 具体的には、アンテベラム期の南部政治家を代表するジョン・C・カルフーンの政治思想、とりわけ彼の国制観に注目することで、1850年代に先鋭化する南北対立の深層に迫ることを試みた。それというのも、奴隷擁護論を構成する議論として、繰り返し「地方自治」の議論が持ち出される事実が確認できるからである。もちろん、1850年に享年を迎えたカルフーンは、「1850年代後半に複数の南部知識人が唱えた思想・言論」に注目する上で適切な人物とは言えないかもしれない。しかしながら、彼が1820年代から一貫して唱えた奴隷制南部社会の擁護論において、その中軸をなした地方自治の論理、すなわち連邦制国家アメリカを巡る彼の国制観は、他の南部知識人にも強い影響力を及ぼすと同時に、現実的にアンテベラム期のアメリカが「奴隷所有共和国」の実態を維持する上での理論的支柱になったといえよう。したがって、彼の言論・言説に注目することは、彼の死後である1850年代後半以降の展開を考察する上で不可欠であると考えられる。 こうしたことから、本年度(2023年度)は、こうしたカルフーンの言論・言説に注目するうえで、とりわけ1840年代初頭のそれに注目して検討し、その成果は「ジョン・C・カルフーンの国制観を巡る一考察―1842年2月の「拒否権に関する演説」を中心に―」(西南学院大学国際文化学部 国際文化論集第○○号〇〇巻)として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では、1830年代以降の南部知識人の言論活動をその内容や特徴に注目しつつ整理しながら、最終的には1850年代における南部社会擁護論の展開について考察することを目標としていた。しかしながら、2020年度から翌年度にかけて深刻化したコロナ禍によって現地(アメリカ合衆国)での資料収集の計画が十分に実現できなかったことに加え、2023年度には本務校における業務負担が増したことにより、当初の計画にあったエフォート比率の変更を余儀なくされた。これにより、現状において当初計画より2年の遅れが発生している状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の具体的課題は、1850年代を前後した南部社会擁護論の連続性や断絶性について検討進めることである。現在のところ、2023年度を通じて行ったカルフーンの国制観やそれ基づいた南部社会の擁護論が、彼の死後、すなわち1850年代における南部知識人の言論活動や南部政治の展開とどのように関係付けられるのかについて検討することを計画している。
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