研究課題/領域番号 |
20K01058
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中野 耕太郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00264789)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アメリカ史 / アメリカ研究 / 現代史 / 西洋史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1960-70年代のアメリカで進行した福祉国家の衰退に伴う国家・市民関係の変化を検証する。具体的には、①冷戦と国内救貧の関係を70年代の展開を視野に入れて考察し、さらに、②この時期拡大する国家の治安・拘禁政策、③徴兵停止(募兵の市場化)と軍事奉仕の変容、といった論点について検討を進める。こうした国民社会の構造変化に関する歴史分析は、今あるアメリカの政治と社会の性格を解明する作業でもある。
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研究成果の概要 |
本研究は、1960-70年代のアメリカではじまった福祉国家の衰退と市場中心の「小さな政府」論の台頭に注目し、この間進行した国家・市民関係の変化を実証的に分析するものである。かかる国民社会の再編過程を検証することは、この時期の激動を源流に形成された、現在のアメリカの本質を解明することに直結する。本研究では、60年代後半から70年代前半にかけて、特にアメリカ国家とそこに暮らす市民との関係が急激に変化していた事実をとりあげ、①冷戦と国内外の救貧政策、②国家の治安維持・拘禁政策の形成、③徴兵停止と市民の軍事奉仕、の3領域を軸に分析を進め、70年代の大転換の歴史的意義を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
福祉国家から「小さな政府」への歴史的な移行が進んだ1970年代は現代史上の一大転機であった。それは、新自由主義的な思考が支配的な現在のアメリカと地続きの政治・経済が生み出された時期であった。本研究は、貧困対策や軍事(募兵)の分野を中心に、当時のアメリカ国家と市民の関係に大きな変容があったことに注目し、いかなる経緯から福祉国家の衰退が進み、弱者にとって過酷な「小さな政府」が唯一の選択肢となったのかを問い直す。1970年代に構築された制度や文化の多くが、21世紀の今日まで継続していることを考えると、本研究が試みた分析は、まさに現在進行形のアメリカの政治と社会の基層を知る重要な営みだと考えられる。
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