研究課題/領域番号 |
20K01065
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
豊川 浩一 明治大学, 文学部, 専任教授 (30172208)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | プガチョーフ叛乱 / 18世紀ロシア社会 / 古儀式派 / カザーク / 農民 / 民族 / オレンブルク遠征 / 近世ロシア国家 / 軍事改革 / イデオロギー / 農民戦争 |
研究開始時の研究の概要 |
18世紀のロシア社会を構成するすべての範疇の民衆が参加していたこのプガチョーフ叛乱にこそ、当時のロシア社会の抱える重要な問題が現れた。 以上の問題について研究を遂行するため、大まかに言えば、次のような計画で行なう。第1に、関連する史料・文献についてロシアの古文書館と図書館で蒐集を行なう。第2に、それらを詳細に分析する。第3に、以上の成果について国の内外の学会で発表をし、それに対するレヴューを受ける。第4に、関連する研究者の助言を得ながら再検討を行う。第5に、その成果を国の内外の雑誌に投稿する。以上の過程を通して、研究を完成する。
|
研究実績の概要 |
本研究の課題に沿って2022年度の研究は進められた。新型コロナウィルスの新種株の感染拡大にも関わらず、国内外の学会が対面式とオンライン併用の形式がとられた。本研究も、大学の在外研究を利用して、フィンランド・ヘルシンキで3か月の研究を遂行することができた。 第1に、1年を通じて研究文献と資史料の収集に努めながら、従来の研究の整理を行なった。第2に、予定していた年度末のロシアにおける古文書・文献の調査、および研究者との意見交換のための外国出張については、2022年2月から続いている戦争のために中止せざるを得ず、その代わりに、在外研究を利用してフィンランド・ヘルシンキの国立図書館における文献調査と分析に切り替えて、研究を遂行した。第3に、2月に開催された北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター主催の国際会議「International Symposium "Survival Strategies of Ukraine and Russia"」にオンラインで出席した。第4に、北海道大学付属図書館およびスラブ・ユーラシア研究センターに出張して、詳細な調査をした。 以上の研究の結果、以下の研究成果を得た。論文としては、①「18 世紀モスクワにおけるペストの流行と暴動に関する史料」(『駿台史学』178号、2023年3月、99~125頁)、②「フィンランドの図書館事情―国立図書館を中心に」(『図書の譜』27号、2023年3月、75~80頁)であり、報告としては、①「プガチョーフ叛乱前夜の国家と社会―1771年のモスクワのペスト一揆を中心に」『日本18世紀ロシア研究会』(2022年9月23日、於明治大学)である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ここ数年続いたコロナ感染拡大のため、そしてまた何よりも2022年2月に勃発したウクライナ戦争によってロシアへ出張して古文書館での調査ができなかったことが、本研究課題遂行の「やや遅れている」要因である。また、ロシアへ図書の依頼を出しても、現在の制裁下にあってはコピーの送料等を払うことができず、コピーを受け取ることができない状況にある。 しかし、現地でしか行うことができない古文書調査は別にして、19世紀以来刊行された多くの文献についてはインターネットでの公開が進み、日本にいても利用することが可能である。とはいえ、すべてを手に取って読むことができるわけでもなく、その点は不便である。ただ、昨年は勤務する大学から半年間の在外研究が許されたおかげで、フィンランドのヘルシンキにある国立図書館で3か月研究することができた。19世紀初頭、フィンランドがロシアに併合されたため、ヘルシンキの国立図書館に19世紀以降ロシア帝国で刊行された出版物がほとんど揃っており、ロシア以外でそうした刊行物を手に取るとこができる唯一の場所となっている。それでも、いくつかの欠落があるため十分ではない。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の方針は以下の通りである。すでに述べたように、ロシアへの出張は今年も無理であろう。その代替案として、7月にオンラインで開催される「18世紀ロシア研究グループ」(Study Group on Eighteenth-Century Russia、拠点:London School of Economics and Political Science)で「プガチョーフと古儀式派教徒」(英語)と題して報告する。8月に3週間ほどフィンランド・ヘルシンキに行き国立図書館で昨年度調査し残した箇所の調査・研究を継続して行う。10月下旬に九州大学で開催される「ロシア史研究会」において、日本における18世紀ロシア研究会の会員と共にパネル(「近代ロシアはいつどのように形成されたのか?―揺れ動く近世ロシアの国家・社会・文化」日本語)で発表することを予定している。 その間、日本では本研究課題について、現在手元にある資史料に基づいて分析を進める予定である。以上の成果を年度末を目途に論文として発表する。
|