研究課題/領域番号 |
20K01066
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
森原 隆 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70183663)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | フランス革命 / ジャーナリズム / フランス外交 / 啓蒙専制主義 / 世論形成 / フランス啓蒙思想 / パトリオット / 連邦主義 / コスモポリティズム / 啓蒙思想 / 共和政 / フランス外交政策 / ヴェルジェンヌ / アメリカ独立 / オランダ革命 / ルイ16世 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世フランス外交の意味や意義を、とくにフランス革命前夜にあたるヴェルジェンヌ外務卿時代(1774年―1787年)に焦点をあて、仏・英・墺を中心にしたヨーロッパのみならずアメリカ、ロシア、オスマン帝国なども含めたグローバルな視点から捉え直そうとするものである。また外務卿府の実態を、史料分析的な観点から検討し、個人の思想や活動とともに、フランス革命との関連や関係性においてあらたに問い直す。
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研究実績の概要 |
本研究は、とくにフランス革命前夜にあたるヴェルジェンヌ外務大臣時代(1774年―1787年)に焦点をあて、仏・英・墺を中心にしたヨーロッパのみならずアメリカ、ロシア、オスマン帝国なども含めたグローバルな視点から捉えなおすものであり、また外務大臣を中心とした外務省の実態を、外交書簡・司令書・認可書・会計文書などを基に、史料分析的な観点から検討するものである。この研究は、現地フランスでの史料調査を念頭に置いたものであるが、今年度は、研究代表者の所属機関の退職時にあたり、フランスへ渡航することはできなかった。しかし、ヴェルジェンヌ外務大臣に関する研究文献やこの時期の政治史・思想史に関する文献を新たに多数入手し、研究テーマに関する総合的な研究を行うことができた。近年のフランス啓蒙思想・パトリオティズムに関する研究や、アメリカ独立戦争に関する研究に注目し、分析を進めた。また、この時期のアメリカの独立に関するヴェルジェンヌの外交政策や、オランダやスイスとの外交関係、特に、1780年代のオランダとスイスの革命運動との関係などに注目し、個別の考察を進めた。具体的には、代表者編で『ヨーロッパの「統合」の再検討』(成文堂、2024円3月刊)を研究成果の一端として提出することができた。これは、フランス革命前夜のルイ16世時代において、外務大臣・宰相格として国王側近の最高実力者として権力を行使した、ベルジェンヌ伯爵の政治を「啓蒙専制主義政治」として位置づけるものであり、とくにヴェルジェンヌの世論やジャーナリズム政策に焦点をあて、「フランス革命はなぜおこったのか」をこれまで見過ごされてきた国際関係史や世論・ジャーナリズム史の観点から考察したものである。これらはわがくにには、本格的な研究がないテーマであり、研究価値が非常に高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度から2022年度までは、コロナ禍により研究計画における、フランス現地における史料調査・分析による実証的な研究はできず、この面での研究課題の進捗状況は遅れていたといわざるを得ない。本研究については、史料、とくに手稿史料に基づく調査分析が不可欠であるので、全体としては、研究状況はややあるいはかなり遅れた状況にあった。しかし、本年度は3月にフランスに渡航し、この点での研究が再開できた。また、研究文献や史料データベースを利用した読解レベルの研究は、予定通り進めることができた。とくに今年度は、『ヨーロッパの「統合」の再検討』(成文堂、2024円3月刊)を研究成果として刊行することができ、一気に遅れを取り戻すことができたといえる。さらに今後は、18世紀後半から19世紀前半にいたる、「大西洋革命」「グランドナシオン」「姉妹共和国」「連邦主義」などあらたな世界観に基づく政治思想構想について検討を進め、フランス外交政策とりわけヴェルジェンヌ外交思想のもつ歴史的な意義について、さまざまな角度から展望を拡大してゆきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究の最終年度に当たり、コロナ問題が収束すれば、フランスでの現地調査を再び行い、史料分析を本格的に開始したいと考えている。現在のところ、ヴェルジェンヌ個人に関する研究・分析については、研究文献等で充分解明できる見通しがついている。手稿分析によって、ルイ16世との情報交換や、外交官への通達などで、外交政策に関する実証的な分析は、ある程度のめどがつけられるのではないかと考えている。それ以後は、ヴェルジェンヌを中心にしたフランス外交政策や政治理念が、この同時代の欧米世界において、いかなる意義や影響を持ったのか、またこのあとのフランス革命にいかなる影響を与えたのか、以下のような、個々のより具体的な研究テーマをさらに設定して、分析・追究を継続して行う予定である。(1)ヴェルジェンヌ思想における「君主政」「共和政」「民衆」理念の位置づけ、(2)ヴェルジェンヌ思想とフランス革命との関係、(3)アメリカ独立革命・オランダ愛国党革命・スイス革命運動とフランス外交との関係、などである。
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